JRA神戸新聞杯(G2)単勝112.7倍ロバートソンキーが菊花賞(G1)切符ゲット! 祖母の全兄は29年前「無敗2冠」達成も骨折で3冠逃したアノ名馬
27日、中京競馬場で行われた神戸新聞杯(G2)は、大方の予想通りコントレイルの圧勝劇で幕を閉じた。
2着に追い込んだのは、上がり最速の末脚を繰り出した日本ダービー(G1)3着馬のヴェルトライゼンデ。
そしてヴェルトライゼンデからクビ差の3着に粘り込んだのが、14番人気の伏兵ロバートソンキー(牡3歳、美浦・林徹厩舎)だった。
単勝112.7倍と、まさに伏兵と呼ぶにふさわしい存在だったロバートソンキー。それもそのはず、このレースがキャリア4戦目。2走前の未勝利戦を勝ち上がったあと、前走の1勝クラスで2着に敗れ、重賞には初出走というから、全く買う要素が見当たらないノーマークの1勝馬だった。
11か月の休養明けで勝ち上がった5月の未勝利戦で初コンビを組んだ伊藤工真騎手。それ以来、3戦連続での騎乗となった神戸新聞杯。伊藤騎手の手綱さばきも光った。
「3枠5番から好スタートを切ったロバートソンキーですが、直後に両隣の馬に思いきり挟まれてしまいました。レース映像を見てもわかりますが、あれだけ馬体を両側からぶつけられると、戦意を喪失してもおかしくありません。それくらい致命的な不利に見えました。
しかし、ロバートソンキーは何事もなかったように、すぐにインコースに位置を取ると、道中は前にコントレイルを見る形で中団やや後方を進みました。目の前に有力馬を見て、脚を温存できたことは、結果的に伊藤騎手の好騎乗だったと思います。直線でもコントレイルを追いかけるように同じコースを進出。さすがにコントレイルにはちぎられましたが、ヴェルトライゼンデと好勝負に持ち込めたことは力のある証拠でしょう」(競馬誌ライター)
最後はダービー3着馬に交わされたが、ゴールまでしっかり伸びており、距離が延びる菊花賞でも楽しみな存在となりそうだ。そして、ロバートソンキーを語る上で、その血統背景に触れないわけにはいかないだろう。
父ルーラーシップは3年前の菊花賞馬キセキを出すなど、距離が伸びていいタイプ。その上で、何より注目したいのがその母系である。祖母のトウカイテネシーは、現役時代に当時の500万下を勝ち上がっただけの条件馬だったが、全兄に伝説の名馬トウカイテイオーを持つ良血馬としてデビュー当時から注目された存在だ。
トウカイテイオーといえば、現役最後のレースとなった1993年有馬記念(G1)での1年ぶりの復活劇は今も語り草。もちろん、1991年の3歳時には皐月賞とダービーを制覇。デビューから無傷の6連勝で無敗の2冠馬に輝いたことは伝説の序章となっている。
しかし、トウカイテイオーはダービーを走り終えた直後に全治6か月の骨折が判明。菊花賞には出走することなく、「無敗の3冠馬誕生」は幻と消えた。
あれから29年。ロバートソンキーは、祖母の全兄、すなわち“大おじ”が出走できなかった菊花賞への切符を手にした。「無敗の3冠」を狙うコントレイルの強さを目の前でまざまざと見せつけられ、ましてや1勝馬の身で菊花賞でも伏兵以上の存在になることはないだろう。
しかし、29年前に無念を味わったトウカイテイオーの見えざる後押しがあれば、偉大な“大おじ”が立つことすらできなかった淀の大舞台でアッと言わせる場面を作ってくれるかもしれない。