JRA毎日王冠(G2)サリオス、サトノインプレッサに継承される「オグリキャップ伝説」の系譜。3歳馬「不毛の時代」に空けた風穴と“伝説”の序章

 オグリキャップが3歳馬として毎日王冠に参戦した1988年。この年も、長期海外遠征を敢行し、キングジョージ6世&QES(G1)や凱旋門賞(G1)にも参戦したダービー馬のシリウスシンボリを筆頭に、安田記念(G1)を勝ったフレッシュボイス、重賞5勝の女傑ダイナアクトレスなど、錚々たるメンバーが集結。3歳馬の参戦はオグリキャップだけだった。

 しかし、これだけの豪華メンバーでオグリキャップは単勝1.7倍という、堂々の1番人気に推される。2年前には1980年代の最強マイラーと称されるニッポーテイオーが、サクラユタカオーの前に2馬身半差の完敗を喫するなど、3歳馬では歯が立たなかった当時、この人気はもはや「異常」と言えた。

 それもそのはず、笠松の最強馬として中央に殴り込みをかけたオグリキャップは当時、地方時代も含め13連勝中。クラシック登録を行っていなかったためG1制覇こそなかったものの、すでに「地方競馬の怪物」として“オグリブーム”の波が、すぐそこまで来ていた。

 レースでは終始後方の外々を回って、最後の直線では粘るダイナアクトレスをあっさりと交わし、猛追したシリウスシンボリを1馬身1/4抑え込む横綱相撲。

 このレースで達成した重賞6連勝は、当時のJRA記録。『クイズダービー』(TBS)の司会などでタレント活動をする一方、競馬評論家としても高名だった大橋巨泉をして「どうやらオグリキャップは、本当のホンモノの怪物らしい」と言わしめたのは、この時である。

 そこからのオグリキャップの伝説は、もはや語るまでもないだろう。

 あれから32年。今年から富士SがG2に昇格するなど、レース体系が充実したため毎日王冠は、かつてほどの強豪が集うレースではなくなりつつあるのかもしれない。

 そんな中でサリオス、サトノインプレッサという将来性豊かな3歳馬がどういった走りを見せるのか。「オグリ伝説」の再現は難しいにしても、競馬界に新しい風を吹き込む活躍を期待したい。

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