JRA武豊もニッコリ!? 京都大賞典(G2)キセキ「脚質転換」の効果抜群……完璧エスコート浜中俊が試みた「課題」とは
11日、京都競馬場では京都大賞典(G2)が行われ、川田将雅騎手の3番人気グローリーヴェイズが優勝した。同馬は前走の宝塚記念(G1)を17着と大きく崩れたが、この勝利で完全復活を印象付けた。
その一方、1番人気に支持されたキセキ(牡6、栗東・角居勝彦厩舎)はメンバー最速となる34秒3の末脚を繰り出したものの、17年の菊花賞以来の勝利に手が届かなかった。
同馬は3月の阪神大賞典(G2)をスタートで大きく出遅れて7着に敗れた。出遅れ癖に悩まされた父ルーラーシップ譲りと思える気性の難しさが顕著となった結果に、同馬を管理する角居調教師からは天皇賞・春(G1)出走を白紙にするコメントすら出たほどだった。
そこで陣営が改善の手立てとして決断したのが、それまでコンビを組んでいた川田将雅騎手の乗り替わりだ。そして、新たに武豊騎手を背にゲート再審査を突破し、天皇賞・春に出走した。レース中に落鉄するアクシデントがありながらも6着に健闘、続く宝塚記念(G1)で2着と気を吐いた。
だが、武豊騎手とのコンビで好相性を見せ、”改善の兆し”が感じられていたタイミングだったキセキ陣営にとっては思わぬ試練が待ち受けていた。4日の凱旋門賞挑戦が決定した武豊騎手が不在となるため、京都大賞典には浜中俊騎手とのコンビで挑むことになったのだ。
17頭立てで行われたレースで1枠2番からの発走となったキセキ。スタートは絶好とはいえないものの、”ゲートから出ること”に成功。初コンビとなった浜中騎手はそのまま下げて、最後方からの競馬を試みた。
3コーナーから徐々にポジションを上げていくと、そのまま捲くるような形で直線では7番手。大外から鋭い脚を繰り出し、勝ったグローリーヴェイズから3/4馬身差でゴール。前走の宝塚記念を再現するかのようなレースぶりだった。
「本番となる天皇賞・秋を控え、おそらく武豊騎手の代打を任された浜中騎手としては見事に責任を果たした好騎乗ではないでしょうか。浜中騎手としては、脚質転換で好走した宝塚記念の走りを頭に入れた騎乗だったと思います。
敗れたとはいえ、前哨戦としては悪くない結果と言えます。スタートでの大きな出遅れもなく、しっかりと折り合って末脚を引き出せたことには陣営も納得しているでしょう。これならば、最高の形で武豊騎手にバトンタッチできそうです」(競馬記者)
レース後、浜中騎手は「スタートが遅く、リズム重視で運んだ。行きたがるところはあったが、我慢してくれました。力のある馬だし、地力できてくれたが」と”馬優先”の騎乗を振り返った。
先週のシリウスS(G3)で騎乗したメイショウワザシで斜行したため、来週からの2週間の騎乗停止処分が下されていたが、騎乗停止前に”いい意味”で存在感が光った。