JRA「歴史的屈辱」秋華賞(G1)13着リアアメリアが最先着ノーザンファームの壊滅……2017年生まれ「509頭」から選ばれたエリートが「5頭」デアリングタクトの前に散る

 この年、13年ぶりに春二冠を無冠で終えたノーザンファームにとって、この日の秋華賞が重要な一戦であったことは述べるまでもないだろう。

 そんな3歳牝馬最後の一冠には、トライアルのローズS(G2)を快勝して2番人気に支持されたリアアメリアを筆頭に、金子真人オーナー所有のミヤマザクラ、ブラストワンピースの妹ホウオウピースフル、エース騎手C.ルメールを配したサンクテュエールなど4頭がエントリーしていた。

 しかし、復権を期した一戦はリアアメリアが13着に大敗……14着ミヤマザクラ、16着サンクテュエール、そしてホウオウピースフルが最下位18着という目も当てられない結果に終わった。

「この日の京都は天気が回復していたものの、前日の雨が残っての稍重。掲示板(5着以内)に二ケタ枠順の馬が4頭入ったように『外有利』の馬場コンディションの中、ミヤマザクラが1番、リアアメリアが2番、ホウオウピースフルが4番と枠順にも恵まれなかった印象です。

東京2400mを勝つ馬づくりを掲げ、日本らしい軽快な馬場でこそ真価を発揮するノーザンファームの生産馬にとっては、厳しい馬場になりましたね」(競馬記者)

 実際にレース後、リアアメリアの川田将雅騎手が「極端に乾いた馬場でないと、現状では力を発揮できないかなという印象」と言えば、ミヤマザクラに騎乗した福永祐一騎手も「馬場が悪い中で、内を通らないといけなかった」とコメント。さらにサンクテュエールのルメール騎手も「馬場、距離が良くなかった」と揃って馬場コンディションを敗因に挙げている。

 さらにノーザンファームにとっては、秋華賞の戦前に無敗の3連勝馬レイパパレ、2連勝中のクラヴェルと期待の上がり馬2頭が除外の憂き目に遭う不幸もあった。

 ただ逆に言えば、世界屈指の血統馬を背景にした圧倒的な生産頭数、そして他の追随を許さない高い育成の技術であらゆる逆境を跳ね返し、今の絶対的な地位を築いたのがノーザンファームだ。

 ちなみにこの日の秋華賞に出走した4頭も、2017年の生産馬509頭から選りすぐられた“超エリート”。今年の生産牧場リーディングも早くも当確ランプが灯っているように、生産界の絶対王者は陥落が想像できないほどの盤石ぶり。

 しかし、4頭出しで最高が13着という今年の秋華賞の結果は、あまりに屈辱的と述べざるを得ない。勝ったデアリングタクトが、グループが管理するエピファネイアの産駒であったとしても、決して手放しでは喜べないのが現実だろう。

 長谷川牧場から突如生まれた女王デアリングタクト。そして、来週の菊花賞(G1)で同じく無敗の三冠を懸けて出走するコントレイルは、長く生産界でしのぎを削ってきたノースヒルズの集大成のような存在だ。

 ノーザンファームの王者が陥落することは、数年後であってもまずあり得ないだろう。だが、昨年ディープインパクトとキングカメハメハという大種牡馬が揃って世を去ったこともあり、サラブレッドの生産界全体が大きな転換期に差し掛かっていることは確かなようだ。

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