JRAドゥラメンテ世代「未完の大器」兄の無念を晴らせるか!? チャレンジC(G3)わずか「キャリア4戦」無敗馬レイパパレの舞台裏
デビューから無傷4連勝中のレイパパレ(牝3歳、栗東・高野友和厩舎)が5日、阪神競馬場で開催されるチャレンジC(G3)に出走する。
11月30日現在、『netkeiba.com』の予想オッズでは1.3倍という断然人気に支持されているように、重賞初挑戦のここは、レイパパレにとってあくまでも「通過点」と見るファンが多いようだ。
デビューからの4戦は、すべて川田将雅騎手が騎乗。1月のデビュー戦で完勝を収めると、約5か月の放牧で成長を促した後、6月阪神の自己条件(1勝クラス)も難なく勝ち上がった。
3戦目は、7月の新潟1800mの2勝クラス。初の左回り、初の距離延長だったが、良血馬カントルなどを寄せ付けず、デビュー3連勝。一躍、秋華賞(G1)の有力候補に名乗りを挙げた。
しかし、この段階では、秋華賞に出走するには、抽選が濃厚という状況。トライアルで確実に権利を取りにいく選択肢もあったが、陣営は無理をさせなかった。結果的に秋華賞では、「4/6」の抽選で除外の憂き目に遭い、同日の大原S(3勝クラス)に出走。ここでは初めてハナを切る競馬を見せたが、直線ほぼ持ったままでオープン入りを果たした。
結果的に、3歳牝馬のG1レースに出走機会はなかったが、裏には高野調教師の深い考えがあったはずだ。
今から5年前。ドゥラメンテが2冠(皐月賞、日本ダービー)を制した3歳クラシック路線を覚えているだろうか。その年の弥生賞(G2)で1番人気に支持されたのが、レイパパレの全兄シャイニングレイだった。デビュー2戦目でホープフルS(当時G2)を勝ち、クラシック戦線でも有力視されていたシャイニングレイ。しかし、弥生賞で7着に敗れると、脚部不安のため春のクラシックを棒に振ってしまう。
その秋に復帰予定だったが、帰厩後に屈腱炎を発症。長期の戦線離脱を余儀なくされた。そんな期待馬が戻ってきたのは、弥生賞からなんと丸2年が経過した2017年の3月。2年にわたる長期休養をはさみ、ダート戦(仁川S)でようやく復帰を果たした。
復帰後の2戦はいいところなく敗れたが、3戦目の安土城S(OP)で復活の勝利を飾ると、続くCBC賞(G3)を6番人気で制覇。2000mのG2を勝った馬がスプリント重賞を勝ったことでも話題を呼んだ。
しかし、2年間の休養直後の4か月足らずという期間に4戦というハードなローテーションが影響したのか、シャイニングレイは再び脚部不安で休養に入ってしまう。
この時は5か月の休養を挟んで復帰したが、12月の阪神C(G2)18着、そして6歳にして初のG1挑戦となった高松宮記念(G1)でも12着に敗れた。
そして初G1の舞台から数日後。シャイニングレイを襲ったのは2度目の屈腱炎だった。復帰を目指すには厳しすぎる6歳という年齢もあって、キャリアわずか9戦、不完全燃焼のまま引退が決まった。
このシャイニングレイを管理していたのが、高野調教師だった。重賞2勝を飾ったものの、「未完の大器」のまま競走馬生活を終えたシャイニングレイ。この馬でクラシックを歩めなかった悔しさ、G1制覇を遂げられなかった無念は今も高野調教師の胸の中にあるだろう。これがレイパパレには無理をさせない一つの理由かもしれない。
度重なる故障でターフを去った兄の無念を晴らすためにも、レイパパレは連勝街道を歩めるだろうか。