JRAクリソベリル敗れるも、新たな「砂の伝説」始動――。築き上げた「名繁殖」の地位「1億2000万円」に込められたクラシック制覇の夢
ただ、先週のチャンピオンズCで敗れたとはいえ、これまでに8勝を挙げるクリソベリル。地方を含めるとG1レースで4勝を挙げ、すでに収得賞金も1億8250万円と大活躍を見せている。
クリソベリルは一口馬主クラブである、キャロットファームの募集馬。募集総額は5600万円と、クラブの中でも高額な募集価格であった。
兄弟には、クリソライト(父ゴールドアリュール)、マリアライト(父ディープインパクト)、リアファル(父ゼンノロブロイ)と重賞勝ち馬が3頭。当然、クリソベリル(父ゴールドアリュール)も母の繁殖能力に期待された一頭であったことは、その値付けから想像できる。
母クリソプレーズもキャロットファームの募集馬であったが、準オープンを勝ち切れずに引退。募集総額も1800万円と募集馬の中では低額だったが、現役引退後に「名繁殖」としての地位を築き上げたのである。
一方、そんなクリソプレーズの仔でも結果が出ていない産駒もいる。中でも大きな注目を集めたのがクリソベリル1つ下、ディープインパクト産駒の半弟・ヴァーダイト(牡3歳、栗東・音無秀孝厩舎)だ。
クリソプレーズの仔で最高募集総額となる1億2000万円で募集され、デビュー戦も芝2000m戦を圧勝。2着のヒートオンビートに4馬身差をつけ、来春のクラシックに名乗りを挙げた。
デビュー戦のレース後、音無秀孝調教師は「レース後、獣医のチェックでは『まだまだ成長途上。よくこれで勝ったね』と言っていたほどで、良くなるのはまだ先でしょう。もちろん春のクラシックを目標にしていきます」と意気込み、その怪物ぶりに大きな期待を寄せられた馬だ。
しかし、次の梅花賞(3歳1勝クラス)では1番人気に推されながらも7着に凡走。その後、リフレッシュ放牧に出されたが、結果は好転せずクラシックの夢は潰えた。
再び放牧に出され再起をかけた前走も、追い出してからの伸びがなく6着。レース後「今回シャドーロールを着用しましたが、それでも追ってからの伸びはもうひとつでしたね……決して力がない馬ではないですし、条件の変更なども考えていく必要はありそうです」と音無調教師はコメントした。そして、ついに「その時」を迎える――