JRA【朝日杯FS(G1)展望】武豊「悲願」のG1完全制覇王手なるかドゥラモンドVS「悲運の引退」兄の雪辱期すレッドベルオーブ!
今年の中央競馬も残り2週間。20日には、阪神競馬場で2歳マイル王決定戦の朝日杯FS(G1)が開催される。
今年は、昨年のサリオスのような抜けた存在は見当たらない混戦模様。最初に取り上げたいのは、新種牡馬ドゥラメンテ産駒のドゥラモンド(牡2歳、美浦・手塚貴久厩舎)だ。
デビューは7月福島の新馬戦(芝1800m)。先行抜け出しの横綱相撲で勝ち上がると、前走のアスター賞(1勝クラス)では、スタートでやや後手を踏んで後方からの競馬。しかし、直線で大外に持ち出すと、鋭く伸びて勝利を挙げた。デビュー3連勝でのG1戴冠を狙う。
鞍上はC.ルメール騎手から今回は武豊騎手に乗り替わる。朝日杯FSといえば、武豊が勝っていない2つのG1のうちの1つ。もう1つは3年前に新設されたホープフルSで、騎乗したのは3年前の1度だけ。その時は、ジャンダルムで2着に敗れている。
一方、朝日杯FSには20回もの騎乗経験がある。しかし、その成績は、「0-5-2-13」と勝ち切れていない。昨年はタイセイビジョンに騎乗し、サリオスの2着に敗れた。
ドゥラモンド自身は、1週前追い切りでまずまずの動きを披露。しかし、管理する手塚調教師はゲートを課題に挙げ、『スポニチ』の取材に対して「もう少し時間が欲しい」と弱気のコメントを残している。
テン乗りに加え、関西圏への長距離輸送も初めて。越えるべきハードルは少なくない。武騎手は“悲願のG1完全制覇”に王手をかけられるか。
今年コントレイルで3冠ジョッキーに輝いた福永祐一騎手。朝日杯FSは、レッドベルオーブ(牡2歳、栗東・藤原英昭厩舎)に騎乗する。
レッドベルオーブの全兄レッドベルジュールは、昨年の朝日杯FSにデビュー3連勝を懸けて臨んだ。3番人気に支持されたが、ノド鳴りの影響もあって10着に大敗。その後は手術を受け、復帰を目指していたが、10月に引退、種牡馬入りが決まった。
弟のレッドベルオーブは、新馬戦で2着に敗れたが、その後は2戦連続でレコードタイムをたたき出しており、そのスピードはメンバー屈指。ただし、前走後には福永騎手が「思った以上に厳しい戦いで、走破時計も速い決着になって、相当疲労が溜まっている感じでした。厩舎でしっかりケアしてもらって、次の戦いに備えてもらいたいです」と話しており、一抹の不安が残る。
中4週という間隔で疲労は抜けきっているのか、直前の動きをしっかり確認する必要があるだろう。僅か3戦でターフを去った兄の雪辱を果たすためにも、万全の状態で臨みたい。