武豊に語った松田国英調教師の「究極の喜び」。ウオッカが勝って嬉しい「クラッシャー」と揶揄された“壊し屋”の意外な素顔
実は、ウオッカが牝馬として64年ぶりに日本ダービー(G1)を制覇したその日の夜、松田調教師は角居調教師と一晩飲み明かしたという。
角居調教師はかつて厩舎で調教助手を務めた愛弟子であり、ウオッカの父タニノギムレットは自身が手掛けたダービー馬。そんなウオッカの活躍が「人と人との付き合い」をテーマに生きてきた松田調教師にとって「究極の喜び」だというのだ。
「本音は羨ましいし、怖いんだけどね。それでも妙に嬉しいんだよね」
角居調教師だけでなく、友道調教師や村山調教師、小島調教師。自分より若く、どんどんトップトレーナーへの階段を昇っていく弟子たちの活躍は、同業のライバルでありながら、やはりどこか感慨深い感情が沸いてしまうようだ。
「この辺の甘さが勝負弱い、あのハナ差に繋がるんじゃないの?(笑)」
そう周囲を笑わせた松田調教師。かつてクロフネやキングカメハメハ、タニノギムレットなど管理した名馬が次々と故障して引退したことで、一部のファンからは「クラッシャー」などと揶揄されている師だが、最も辛い思いをしたのが本人だったことは、この一幕のやり取りだけでも十分に想像できる。
そんな松田調教師も、いよいよ来年の2月に勇退。残り少ない大舞台で、今や競馬界を代表する伯楽に成長した弟子たちをアッと言わせるような“もう一花”を咲かせてほしい。