何故、東京大賞典は12月29日から動かないのか。売上レコード毎年更新の「神話」に5年ぶりの危機……JRA有馬記念との「密接な関係」とは

 今月29日には、地方競馬の総決算となる東京大賞典(G1)が大井競馬場で開催される。

 有馬記念(G1)がJRA(日本中央競馬会)で最も馬券売り上げが見込めるレースであることと同様に、1年を締めくくる東京大賞典も地方競馬で最も高い売上を誇るレース。特にネット投票が普及し始めた2012年頃から毎年のように売り上げが増加。ここ数年間は地方競馬の売上レコードを更新し続けるなど、好調な地方競馬を象徴するようなレースだ。

 しかし、今年は「厳しい結果になるかも」と言われているから驚きだ。

 確かに、ダート王のクリソベリルが12月のチャンピンオンズC(G1)で敗れた影響もあって不在。そのクリソベリルに勝ったチュウワウィザードも来年のサウジCに備えている状況と、やや寂しい感もある今年の東京大賞典。

 それでも昨年の覇者オメガパフュームや、3歳ダート王のダノンファラオなどがスタンバイ。大きく売り上げに響きそうな低調なメンバー的とは言えないだろう。

「実は東京大賞典の売上は、JRAの有馬記念の日程と密接な関係にあります。簡単に言うと、有馬記念との『日程が近ければ近いほど、売り上げが下がる』ということです。

しかし、毎年の12月29日に固定されている東京大賞典だけに、間隔を取りたくとも取れません。結局、毎年の有馬記念の開催がいつになるのかによって、売り上げに大きく影響が出る状況が続いています」(競馬記者)

 実際に2012年以降、毎年のように売り上げ増を記録している東京大賞典だが、有馬記念の翌日開催となった2014年には、26億円を売り上げた前年から4億円もダウンしている。これは前述した2012以降では唯一の売上ダウンだった。

 また、その翌年2015年には5億円アップの27億円を売り上げたものの、2013年の26億円からは、わずか1億円のアップに留まっている。これは有馬記念から中1日だったことが影響しているというわけだ。

 一方で中3日と十分な間隔があった2016年には、一気に37億円と10億円も売り上げを伸ばしている。それ以降は2017年(中4日)が42億円、2018年(中5日)46億円、2019年(中6日)56億円と、有馬記念との間隔と共に右肩上がり。

 毎年のように売上レコードを更新する「東京大賞典神話」が生まれたというわけだ。

 しかし、今年の有馬記念は27日に開催。29日の東京大賞典とは「中1日」と、2015年以来の試練が訪れている。果たして神話は続くのか、今年の東京大賞典は1つのターニングポイントになるかもしれない。

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