JRA有馬記念(G1)ラッキーライラック陣営「控える競馬」示唆に「不安の声」も……。問題は「どの程度」控えるか!?
24日には、公開枠順抽選会が行われ、いよいよ27日の本番を待つのみとなった今年の有馬記念(G1)。数々の名馬が“有終の美”を飾ったこのレースで、今年はG1・4勝の名牝が現役最後を迎える。
このレースでの引退が決まっているのがラッキーライラック(牝5歳、栗東・松永幹夫厩舎)だ。前走のエリザベス女王杯(G1)で2連覇を達成した後、暮れの大一番に矛先を向けてきた。
2走前が8月の札幌記念(G2)で、実質叩き2戦目となる今回。前走からは、中5週と間隔は理想的だ。1週前には、栗東CWで6ハロン78秒9-ラスト12秒6をマーク。最終追い切りは単走で時計こそ目立たなかったが、軽快な動きを披露。前走以上の出来と見ていいだろう。
ただし、中間の陣営コメントから懸念点も浮上している。
「有馬記念は、そのコース形態もあって、インコースで脚を溜められる競馬が理想です。昨年は異例のハイペースとなって、差し馬が届きましたが、基本的には先行馬が有利です。
ラッキーライラックは基本的には先行脚質ですが、陣営は控える競馬を考えているようですね」(競馬誌ライター)
最終追い切り後、初の距離(2500m)について聞かれた松永調教師は「2500メートルは走っていないのでわかりませんが、香港でも脚を溜めたら、最後はしっかり良い脚を使っていますので大丈夫」と距離不安説を一蹴した。このコメントで気になったのは「脚を溜めたら」というフレーズだ。
鞍上を務める福永祐一騎手も最終追い切り後に「しまいを伸ばす感覚で、いいコンタクトを取れた」と話し、22日の『デイリースポーツ』のインタビューには次のように語っている。
「(ラッキーライラックを)ずっと見ていて、出して行って前につけるのが合わない馬じゃないかなと感じていました。実際、前につけなかった前走で勝っていたし、やっぱりそうなんだなと思いましたね」
一連のコメントからラッキーライラック陣営は「控える競馬」を示唆していることは明らか。確かに前走は、後方で脚を溜めたことが功を奏した。
ただ、C.ルメール騎手の絶妙な仕掛けのタイミングが嵌ったのも確か。もし、トリッキーな中山2500mで同じように後方で脚を溜める競馬をすれば、直線が短い中山では届かないだろう。ネット上では、「ラッキーライラックは脚を溜めてなんぼ」、「中山2500mでは前に行くべき」と意見は分かれている。
「石橋(脩)騎手が乗っていた3~4歳の頃は、先行から早め抜け出しを図り、最後に甘くなるという競馬が目立ちました。それが昨年のエリザベス女王杯でC.スミヨン騎手が脚を溜める競馬を教えて、その後の大阪杯(G1)制覇とエリザベス女王杯連覇につながりました。
有馬記念ではさすがに後方に控えると届かない可能性が高いので、少なくとも中団7~8番手のインで脚を溜める競馬をしたいでしょうね」(別の記者)
注目された枠順は『4枠7番』に決まり、スタートが決まれば、“理想の位置”は取れそうだ。陣営が考える位置取りとファンの間に乖離がなければいいのだが……。
グランプリ初制覇を狙う福永騎手の手綱さばきに注目が集まる。