ダイワスカーレットは「ドバイワールドカップ」を勝てたのか? 無念の故障引退から11年、主戦・安藤勝己氏が語る「ダート適性」
昨年はリスグラシューが5馬身差で圧勝し、今年もクロノジェネシスがファン投票1位を獲得。今や牝馬が勝つことも珍しくなくなった有馬記念(G1)だが、一昔前までは牝馬にとって非常に高い壁として存在していた。
そんな中、2着→1着と当時「規格外」といえる結果を残したのが、ウオッカのライバルとして名高いダイワスカーレットだ。
今でも最強牝馬論争に度々名前が挙がる歴史的名牝。2008年の有馬記念を制し、現役No.1の座に就いたダイワスカーレットには、翌年のドバイワールドカップ(G1)遠征が発表されていた。
だが、その前にダート適性を確かめる意味でフェブラリーS(G1)に矛先を向ける。ところが1週前追い切りを終えたところで脚部不安を発症し、そのまま無念の引退となってしまったのだ。
果たしてダイワスカーレットは、ダートでも芝と同じように異次元のパフォーマンスを発揮できたのか――。
引退から11年が経った今、主戦騎手を務めた安藤勝己氏が『アンカッちゃんねる』(YouTube)で、当時を振り返っている。
安藤氏はダイワスカーレットのダート適性について「ダートの状態による」と発言。パサパサの良馬場では厳しいが、雨が降って締まったダートなら、フェブラリーSでもチャンスがあると考えていたようだ。
ちなみにこの年のフェブラリーSは稍重で行われ、勝ったサクセスブロッケンがコースレコードを更新。まさに安藤氏がチャンスがあると感じていた馬場だけに、なおのことダイワスカーレットのリタイアが惜しまれるところだ。
一方、ダイワスカーレットの全兄にあたるダイワメジャーについては「走ったと思う」とダート適性に太鼓判。同じ父と母を持つ兄妹だったが、ダイワスカーレットには「芝向きのフットワークであったことは間違いないね」とコメントしている。
「ダイワメジャー産駒といえば、昨年の2歳女王レシステンシアや先日、引退を表明したアドマイヤマーズなど、芝の名マイラーが印象的ですが、産駒の賞金王ブルドッグボスはバリバリのダート馬。そういった点でも、安藤さんの見立ては正しかったと言えるかもしれません。
いずれにせよ、当時のダイワスカーレットは牝馬ながらに間違いなく国内屈指の存在でしたし、やはりドバイワールドカップの挑戦を見たかったというのが本音です」(競馬記者)
ちなみに、この年のドバイワールドカップを制したのは米国のウェルアームド。前年の3着馬ながら、これがG1・2勝目。前哨戦でも敗れており、波乱の決着だった。
また、日本のヴィクトワールピサが勝ったオールウェザーの開催は、ダイワスカーレットが遠征を試みた1年後の2010年から。もし、ダイワスカーレットがオールウェザーのドバイワールドカップに挑戦していれば、日本勢初優勝をこの馬が飾っていたかもしれない。