JRAフィエールマン電撃引退で「鞍上問題」が解決!?前“馬”未到の天皇賞・春3連覇の夢は次代に…… コントレイル打倒誓うあの馬に追い風か

 昨年、天皇賞・春(G1)の連覇を達成し、天皇賞・秋(G1)2着、有馬記念(G1)で3着と好走したフィエールマン(牡6歳、美浦・手塚貴久厩舎)。今年は前“馬”未到の天皇賞・春3連覇も期待されていたものの、6日、同馬の引退・種牡馬入りが、所有するサンデーサラブレッドクラブのホームページで発表された。

 フィエールマンは有馬記念後に、右前脚に熱感と腫れが見られていたという。大事を取って放牧先のノーザンファーム天栄で精密検査を行ったところ、患部がけい靱帯炎にまで悪化していることが判明。長期の休養が必要となり、さらに再発するリスクもあることから、陣営は引退を決めたようだ。

 もともと体質に弱いところがあり、デビューが遅れていたフィエールマン。そのため出走間隔を開けて使われており、3歳秋に菊花賞(G1)を制したのが、キャリア4戦目。結果的にラストランとなった有馬記念も12戦目と、その輝かしいキャリアに比較して出走回数は多くない。

 だが体質の弱さとは裏腹に豊富なスタミナを誇り、菊花賞を制した翌19年の天皇賞・春ではグローリーヴェイズとクビ差の接戦を制して優勝。20年は昨年の王者ということもあり、ライバルたちから執拗にマークされていたものの、主戦を任されているC.ルメール騎手の冷静な判断も冴え渡り、見事優勝。史上5頭目となる天皇賞・春連覇を達成していた。

 またこの勝利でフィエールマンは、ジェンティルドンナ(7勝)以来となる2頭目、牡馬でははじめてディープインパクト産駒として、G1・3勝以上を挙げた馬となっている。

 その後は、ダメージが抜け切らないなどの理由で予定していた宝塚記念(G1)を回避。秋は天皇賞・秋から始動して2着と好走。有馬記念でも3着と健闘してみせた。

「フィエールマンは有馬記念の前にも、SNSなどで『右前脚が腫れている』とのウワサが流れ、前走2着に入った天皇賞・秋との立ち姿と比較した写真も出回っていたんです。このときは別段問題視する必要はないと考えられていたのですが……。

昨年の戦績が評価されたフィエールマンは、2020年度JRA賞の最優秀4歳以上牡馬に選出されています。今年もディープインパクト産駒牡馬のG1・勝利数更新、また天皇賞・春3連覇など、さまざまな記録更新の期待も懸けられていたので、この引退は本当に残念ですね」(競馬誌ライター)

 同一馬による天皇賞・春3連覇の夢は潰えた。だが、その偉業をアシストしていたルメール騎手の天皇賞連勝記録継続の可能性は途絶えたわけではないという。

「フィエールマンの主戦であるルメール騎手には、昨年の菊花賞でコントレイルをクビ差まで追い詰めたアリストテレスがいますからね。今年の始動戦であるAJCC(G2)にもコンビで参戦予定とあって、今後もお手馬の1頭として数えられる存在です。

天皇賞・春2連覇中のフィエールマンが引退とあって、ルメール騎手が長距離に適性を持つアリストテレスで春盾に挑戦する可能性は高くなりました。前人未到の『天皇賞5連勝』はこのコンビで達成されるのかもしれません」(競馬記者)

 次代にバトンは託された。3冠馬コントレイルを追い詰めたアリストテレス×ルメール騎手のコンビには、ターフを去ることになったフィエールマンの分まで活躍してもらいたい。

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