JRA武豊「低迷期」を支えたG1馬に酷似!? 10年ぶりに現れた「クラシック候補」も京成杯(G3)出走に浮かび上がる「不安データ」

「不安データ」は覆せるのか……。

 17日、中山競馬場で行われる京成杯(G3)に、タイソウ(牡3歳、栗東・西園正都厩舎)が出走を予定している。

 栗東Cウッドでの1週前追い切りを見届けた西園調教師は「20数年調教師をやっているが、こんなに興奮したのはサダムパテック以来。来週の競馬が楽しみで仕方ない」と大興奮。中山2000mへの挑戦は皐月賞(G1)へ試金石の一戦となる。

 サダムパテックといえば、4歳時にマイルCS(G1)を制覇し、3歳のクラシック戦線でも大きな期待を集めた馬だ。

 デビュー戦こそ敗れたものの、未勝利戦、東京スポーツ杯2歳S(G3)を連勝。朝日杯FS(G1)では4着に敗れたが、弥生賞(G2)を勝利し、クラシック戦線の大本命に推された。

 迎えた皐月賞(G1)は、1番人気の単勝2.5倍。この年は東京競馬場での開催であったが、同じく府中で行われた東京スポーツ杯2歳Sでの実績もあり、ファンから多くの支持を集めていた。

 しかし、勝利したのは、この後クラシック牡馬三冠を達成することになるオルフェーヴル。サダムパテックも懸命に追い縋ったが、思わぬ「怪物」の誕生に2着を確保するのが精いっぱいだった。

 サダムパテックは続く日本ダービー(G1)でも7着に敗れ、三冠最後の菊花賞(G1)では健闘するが5着と敗戦を喫した。

 次第に影が薄くなっていったサダムパテックだが、復活を果たしたのが2012年の京王杯スプリングC(G2・1400m)。距離短縮での勝利は、新たな可能性を見出した。

 しかし、続く安田記念(G1)はマイルへの距離延長で9着、2000mの天皇賞・秋(G1)でも8着と惨敗する。そして、再度マイルに戻した一戦がマイルCSだった。

 鞍上は、天皇賞・秋から引き続きの騎乗となった武豊騎手。2012年といえば年間勝利数が56勝とデビューから最も勝ち鞍が少なくなった年で、この年G1勝利がなかったことからも千載一遇のチャンスだった。

 1枠1番、武豊――。これだけで勝利を予感したファンもいたかもしれない。

 

 18頭立てのレースで、サダムパテックは最内中団を追走。道中は若干行きたがる同馬をなだめながら、じっくりと構えた。

 4コーナーの勝負所で追い始めると、内の馬を避けて外へ持ち出す武豊騎手。1頭分の隙間を抜け出したサダムパテックは鞍上の鞭に応え、最後はグランプリボスの追撃を振り切って快勝した。

 サダムパテックにとっては、これが悲願の初G1勝利。武豊騎手にとっても嬉しい勝利となったのはいうまでもないだろう。2010年、ジャパンC(G1)で騎乗したローズキングダム以来のG1勝利は、約2年ぶりとなった。

 サダムパテックを管理した西園厩舎は、その後もジュールポレールでヴィクトリアマイル(G1)を制し、これまでにG1を4勝。タイソウに対して語られた言葉からはG1制覇への期待が伝わってくるが、西園調教師の期待とは裏腹にタイソウは「不安データ」を抱えている。

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