JRAルメール天下「終焉」へ……!? 昨年G1・8勝も今年が「正念場」求められる若手調教師との信頼関係
今年もC.ルメール騎手は活躍できるのだろうか……。
昨年は2018年に続き200勝超えを達成したルメール騎手。その手腕はビッグレースでも冴えわたり、アーモンドアイ、グランアレグリア、フィエールマンなどの有力馬で、合わせてG1を8勝した。
9日からレースへの騎乗を再開するルメール騎手だが、今年も大きな期待をかけられるのは当然の存在だ。
今週は月曜日が祝日で3日間開催。重賞は10日のシンザン記念(G3)と11日のフェアリーS(G3)があるが、どちらの重賞でも有力馬への騎乗を予定している。
シンザン記念で騎乗を予定するのはククナ(牝3歳、美浦・栗田徹厩舎)。3戦1勝で未勝利勝ちのみだが、前走のアルテミスS(G3)では4戦無敗で阪神JF(G1)を制したソダシの2着。上がり3ハロンはソダシを0.5秒も上回っており、クラシックでの逆転も十分に考えられる大器だ。
フェアリーSで騎乗を予定するファインルージュ(牝3歳、美浦・木村哲也厩舎)で、昨年このコンビではダーリントンホールが共同通信杯(G3)、オーソリティがアルゼンチン共和国杯(G2)を勝利するなど相性は悪くない。
ただ、そんなルメール騎手の状況も昨年からは大きく変化。今年は安泰とはいえないかもしれない。
■C.ルメール騎手2020年厩舎別賞金獲得額 TOP10
(調教師、総レース数、賞金合計、賞金シェア)
国枝栄 29 7億3821万 16.5%
藤沢和雄 118 6億7713万 15.1%
手塚貴久 19 2億9600万 6.6%
木村哲也 46 2億6118万 5.8%
堀宣行 29 2億4636万 5.5%
矢作芳人 5 1億6300万 3.6%
加藤征弘 42 1億6008万 3.6%
松永幹夫 6 1億4300万 3.2%
松田国英 18 1億2531万 2.8%
角居勝彦 10 1億800万 2.4%
昨年は国枝栄厩舎、藤沢和雄厩舎の2厩舎で約30%の賞金を稼いでいるが、一方の国枝厩舎からは稼ぎ頭であるアーモンドアイが昨年引退し、賞金額8位の松永幹夫厩舎からもラッキーライラックが引退。さらに賞金額3位の手塚貴久厩舎からは、フィエールマンが6日に受けたエコー検査の結果、けいじん帯炎と診断され引退を余儀なくされている。
TOP10内の厩舎では、松田国英調教師、角居勝彦調教師が今年の2月で引退。G1で活躍する多くのお手馬が引退したことに加え、有力馬への騎乗依頼があった厩舎も解散するなど状況は厳しい。
さらに不安なのが来年で、お手馬の中で最も期待されているといっても過言ではないグランアレグリアが、クラブの規約で来年の3月までには引退することが決まっている。しかも、グランアレグリアを管理する藤沢調教師も今年で70歳となり、JRAの規定で来年2月には厩舎を解散することになる。
藤沢厩舎といえば、ルメール騎手が昨年騎乗した馬が最も多かった厩舎。118回の騎乗があり賞金のシェアを見ても全体の約15%を占めているのだから、その影響は限りなく大きいはずだ。
ただ、今週重賞で騎乗する2頭は、ククナを管理する栗田徹調教師が42歳、ファインルージュの木村調教師も48歳とまだ若い。今後、若手調教師との信頼関係が強くなれば、さらなる飛躍も可能かもしれない。
ルメール騎手にとっては、今年が正念場。まずは今週のスタートダッシュに期待したいところだ。