JRA京成杯(G3)「激走必至」タイムトゥヘヴンはダノンザキッド以上!? M.デムーロ不振脱出の救世主となるか…… アーモンドアイ縁の桜花賞から「伝説」誕生の予感
キストゥヘヴンは今を遡ること15年前、安藤勝己元騎手とのコンビで2006年の桜花賞を優勝した馬である。重賞4勝を挙げた名牝とはいえ、桜花賞は6番人気の伏兵で勝利したこともあり、同馬の名前を聞いて即座に現役時代が思い浮かぶ競馬ファンはそう多くないかもしれない。
2009年の中山牝馬S(G3)勝利を最後に現役引退して繁殖入り。現在はオリオンファームで繋養されている。母としてはこれといった活躍馬を出せていないものの、京成杯(G3)に出走を予定しているタイムトゥヘヴン(牡3、美浦・戸田博文厩舎)には大物誕生の期待が懸かる。
同馬は昨年11月の東京・芝1800mでデビューして4着、2戦目の未勝利も4着といずれも3番人気で、良くも悪くもない印象しか残らない。はっきり言ってここまでのタイムトゥヘヴンは目立った走りをしておらず、よくいる未勝利馬の1頭に過ぎなかった。
そんな馬に一体何があったのかわからない。3戦目となった未勝利戦でこれまでの凡走が嘘のような激変を見せたのである。
このレースでそれまで手綱を取っていた戸崎圭太騎手から北村友一騎手へと乗り替り。2番手追走から最後の直線で先頭に立つと、瞬く間に後続馬を置き去りにした。ゴール前では流す余裕すら見せたワンサイドゲームで、2着馬とは8馬身もの大差がついていた。
だが、衝撃はこれだけにとどまらなかった。芝2000mでタイムトゥヘヴンが計時した勝ち時計は2分3秒0。折しも中山競馬場では2歳G1であるホープフルSがこの日のメインレースとして組まれていたが、優勝したダノンザキッドの勝ち時計は2分2秒8とわずか0秒2差だった。
これは2着に入ったオーソクレースと同タイム。タイムトゥヘヴンが直線半ばで流していたことを考慮すると、追っていればその差はさらに縮まっていた可能性もあるのだ。
芝の走破時計は開催やコース、その日の馬場状態で変わるため、単純に比較できるものではない。しかし、開催日、コース、距離がすべて同じともなれば、G1級のパフォーマンスを披露したことは無視できなくなる。
「2頭とも好位からの抜け出しが決め手となったレースでしたが、前後半のラップも遜色ありませんでした。これでもまだ2着馬以降と接戦であれば、過大評価になりかねませんが、単純に1頭だけG1級だったと考えれば、後ろが離されたのも無理がない話という結論に落ち着きます。
どうしてこれほどの馬が、それまでの2戦で凡走したのかはわかりません。しかも初勝利でホープフルSと差のない内容で圧勝ですからね……。もしかしたらG1馬である母の血が突然覚醒でもしたんでしょうか。それだけに、真価の問われる京成杯の走りには注目です」(競馬記者)