JRA「薬物検出」失格ソーヴァリアントが待望の“初勝利”。絶対王者に通ずる「隠れニックス配合」で“最適舞台”は日本ダービーよりも菊花賞か
24日(日)、中山5Rの3歳未勝利戦(芝2200m)でソーヴァリアント(牡3歳、美浦・大竹正博厩舎)が1番人気に応えて優勝。デビュー4戦目で待望の初勝利を飾った。
しかし、ソーヴァリアントが先頭でゴールを駆け抜けたのは実は今回が2度目。2走前の昨年11月には2歳未勝利戦で1位入線したが、レース後に禁止薬物(カフェイン)が検出され、失格処分を受けていた。
失格がなければ、すでにクラシック戦線に乗っていたかもしれない社台ファーム期待の素質馬。失格明け初戦の前走を取りこぼしていたため、結果的に約2か月半も“遠回り”する羽目になってしまった。
それでもソーヴァリアントに対する陣営の期待は大きい。母のソーマジックは現役時代に牝馬クラシックを皆勤。桜花賞(G1)ではレジネッタの3着という実績を持つ。仔出しも非常に良く、ソーヴァリアントを含めてJRAでデビューした6頭すべてが勝ち上がり、1歳上の半姉にマジックキャッスル、4歳上の半兄にはソーグリッタリングという実績馬がいる。
ソーヴァリアントは1つ勝ったことで、一息入れて春のクラシックを目指す可能性もあるが、その血統背景からさらに長距離向きという声も。
「姉のマジックキャッスルはデビュー戦で1200mのスピード競馬を制し、短距離馬と思われていましたが、その後、オークス(G1)5着、秋華賞(G1)では2着に好走。そして4歳初戦の愛知杯(G3)を勝つなど、距離を延ばして結果を出しています。
一方、2000mでデビューしたソーヴァリアントは、2200mで未勝利勝ちを収め、姉以上に距離は持ちそうです。そして、この馬の最大の魅力は『オルフェーヴル×シンボリクリスエス』という大物感漂う配合です」(競馬誌ライター)
オルフェーヴル産駒といえば、母系にフォーティナイナーが入ったニックス配合が有名だが、母父シンボリクリスエスからも活躍馬が出始めている。この配合はこれまで19頭がJRAでデビューし、8頭が勝ち上がり。出世頭のオーソリティは、青葉賞(G2)、アルゼンチン共和国杯(G2)という2400m超の重賞を勝っている。
昨秋引退したエスポワールも同じ「オルフェーヴル×シンボリクリスエス」だ。3歳夏以降に力をつけ、秋華賞では3番人気に支持(結果は9着)された。また、オルフェーヴルの父ステイゴールドとシンボリクリスエスの配合からは無尽蔵のスタミナを誇る障害界の絶対王者オジュウチョウサンが出ている。
ソーヴァリアント自身も極悪の不良馬場を制したレース内容から間違いなくスタミナタイプだろう。たとえ日本ダービー(G1)に間に合わなくても、菊花賞(G1)が最適の舞台になる可能性もありそうだ。