JRAグレートマジシャン兄は「別の生き物」と評された怪物!?「能力ある」C.ルメール好感触…… 兄の悲劇を乗り越えられるか
1月31日に行われた日曜東京・9Rセントポーリア賞(1勝クラス)は、C.ルメール騎手の1番人気グレートマジシャン(牡3、美浦・宮田敬介厩舎)が快勝。デビュー勝ちした11月に続く2勝目を挙げて、春のクラシックに向けて好発進を決めた。
2戦連続出走した東京・芝1800mの舞台でその能力を存分に発揮した一戦だった。コンビを組んだルメール騎手はレース後、「まだ子供っぽいけどすごく良い反応をしてくれました。能力がありそう」と好感触。今後の活躍次第ではクラシックのパートナー候補の一角も視野に入る走りだったに違いない。
8頭立ての少頭数で行われたレース。スタートで出負けしたグレートマジシャンは後方からの競馬を強いられた。リーブラテソーロの逃げは1000m通過60秒4と絶好の馬場状態の東京ではスローペース。後方にいた大本命には厳しい展開にも思われた。
だが、ルメール騎手には自信があったのだろう。パートナーのリズムを優先して折り合いはピッタリ。最後の直線に入っても追い出しを待つ余裕まで見せた。残り400mでようやく促すとグレートマジシャンはグングン加速。軽く追っただけで2着バジオウに2馬身半の差をつける圧巻のパフォーマンスを披露した。
ノーステッキで極上の切れを見せた上がり3F33秒3は勿論メンバー最速。上がりNO.2のバジオウがマークした34秒2を凌駕した。余裕十分にゴールしたことを考慮すると、本気で走れば2頭の差はさらに開いただろう。
「まだまだ余裕がありました。2着のバジオウも決して弱い馬ではなかったんですが、今日のところは相手が悪過ぎたというほかありません。特に目を引いたのがルメール騎手のグレートマジシャンに対する自信と信頼です。少頭数ということもありますが、後ろからの競馬になってもまったく慌てていませんでしたね。
4コーナーから馬なりで上がって軽く追っただけで勝負を決めてしまいました。勝ちタイムの1分46秒5は平凡ですが、この内容なら問題はないでしょう。ダービーと同じ東京競馬場で強い勝ち方をしたのは、陣営にとっても大きな収穫となりそうです」(競馬記者)
そんなグレートマジシャンだが、同じくディープインパクトを父に持つ全兄フォイヤーヴェルクは、一部の競馬ファンにとって強烈なインパクトを残した馬の1頭ともなっている。
同馬を生産したノーザンファームの関係者は「本当にいい馬なんですよね。なんというか、『別の生き物』みたいです」とデビュー前から大絶賛。独G1を2勝した母ナイトマジックが、2009年のドイツ年度代表馬にも選ばれた名牝ということも背景にあっただろう。
しかし、フォイヤーヴェルクは鳴り物入りでデビューしたものの、クラシックに進むどころか自己条件すら勝ち上がれなかった。このまま終わるのかと思われた”元怪物候補”が初めて輝きを見せた場所は、平地戦ではなく障害戦という新天地。昨年8月の新潟ジャンプS(J・G3)で初めて重賞勝ちの美酒に酔うことができたのだった。
評判倒れに終わった兄の悲劇とは異なり、グレートマジシャンは今のところ2戦2勝と前途洋々だ。弟はこのままエリートコースに乗ることができるだろうか。