JRA「立て直しは簡単やない」ランドオブリバティに“暴走”の前兆……。きさらぎ賞(G3)安藤勝己氏の「懸念」が現実に?
「物見ってレベルの逸走やないし、よっぽど気性的なもんか、状態的に苦しがってたのか。ただ、ここからの立て直しは簡単やないと思うな」
これは元JRA騎手として活躍した安藤勝己氏が昨年12月のホープフルS(G1)後に自身のTwitterに投稿したツイートの一文だ。もちろん主語は、7日に行われるきさらぎ賞(G3)に出走するランドオブリバティ(牡3歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)のことである。
ダノンザキッドに次ぐ2番人気という高い支持を集めてG1獲りに挑んだランドオブリバティ。好スタートからハナを切ると、1000m通過61秒9というややスローな流れを作りだした。道中は終始、外へ逃避する仕草を見せながらも、4コーナーまでの手応えは決して悪くなかった。
しかし、「事件」は最終コーナーで発生。3~4角のカーブで外に膨れると、大きく逸走……外ラチに突っ込もうとしたところで鞍上の三浦皇成騎手が落馬し、競走中止という結果に終わった。
もちろんランドオブリバティには平地調教再審査が課され、中間は厩舎一丸となって立て直しを図ってきた。そして先月20日に美浦北Cダートコースで行われた再審査に一発で合格。陣営のコメントからも手応えありの雰囲気が漂う。
そんな陣営の立て直しに一役買ったのが『ジェーンビット』というハミの一種だ。あまり聞き慣れない馬具だが、このハミに替えたことで、操縦性は格段にアップしたという。
「ジェーンビッドは、もたれ癖がある馬にしばしば使われ、口向きを矯正する役割があります。ただ、このハミは左右の動きに対応しやすくなる一方で、前後の制御が難しくなるという欠点があります」(競馬記者)
つまり、ハミ交換によって、前走のように逸走する可能性は低減できる。だが、もし引っ掛かってしまった場合は、暴走につながる可能性が高まるということだ。
これまで逃げ・先行の競馬しかしていないランドオブリバティ。今回はタガノカイという逃げ馬がいるため、2番手に控える競馬が濃厚だ。しかし、枠と両馬のスタート次第ではランドオブリバティが再び逃げざるを得ない展開も考えられるだろう。もしそうなったとき、ランドオブリバティに“暴走スイッチ”が入る可能性は否定できない。
陣営は順調さをアピールしているが、調教とレースは別物。陣営の懸命の努力は実るのか、それとも真っすぐ走ることに気を使い過ぎて、新たなハミが暴走を引き起こしてしまうのか。
安藤氏の「立て直しは簡単やない」という懸念が杞憂に終わることを願うばかりだ。