JRA「人気薄を買え」エリート厩舎に新たな「格言」誕生!? 共同通信杯(G3)波乱演出で、フェブラリーS(G1)も大荒れ必至か
14日、東京競馬場で行われた共同通信杯(G3)は、エフフォーリアが優勝。2着に7番人気ヴィクティファルス(牡3歳、栗東・池添学厩舎)、3着には2番人気シャフリヤールが飛び込み、3連単6万7820円という高配当となった。
その立役者となったのが、単勝41.9倍ながら2着に好走したヴィクティファルスだ。キャリア1戦で、2か月半ぶりの実戦が不安視され、評価は軒並み低かった。しかし、同じキャリア1戦の素質馬シャフリヤールに先着したことは素直にたたえるべきだろう。
そのヴィクティファルスを管理するのは池添学調教師だ。父が池添兼雄調教師、兄は“グランプリ男”池添謙一騎手という競馬一家で育った競馬界の“サラブレッド”である。
大学卒業後にはノーザンファームでの勤務、そしてアイルランドでの修業などを経て、2015年に厩舎を開業。当初からノーザンファームとの太いパイプを生かし、多くの有力馬・良血馬を預かり、勝ち鞍を重ねてきた。
まさに若手の“エリート調教師”と呼ばれる存在だが、これまで重賞は3勝。預託されている馬の質からすれば物足りない数字といえるだろう。
そんな池添学厩舎だが、重賞レースにおいて、ある「格言」が生まれようとしている。それが、『池添学厩舎の人気馬は消し、人気薄は買い』というものだ。実際に、単勝オッズを3分割してみると、“格言”通りの傾向が顕著に出ている。
【池添学厩舎単勝オッズ別通算成績(JRA重賞のみ)】
~9.9倍 「2-2-1-25/30」(6.7%/13.3%/16.7%/20%/30%)
10.0~39.9倍 「1-4-3-23/31」(3.2%/16.1%/25.8%/65%/130%)
40.0倍~ 「0-4-4-18/26」(0.0%/15.4%/30.8%/0%/311%)
※()内は左から勝率、連対率、複勝率、単勝回収率、複勝回収率
単勝オッズ1桁台の人気馬では、30戦して2勝するも、複勝率は16.7%、複勝回収率も30%と信頼を置きにくい。一方、単勝オッズ10倍以上になると、様相が変わる。10~40倍未満の馬は複勝率25.8%で、複勝回収率も130%に跳ね上がる。さらに40倍以上の穴馬が重賞に出走してきたときは複勝率が30.8%、複勝回収率は311%にも上がる。
実際に昨秋以降の重賞レースでは頻繁に人気薄が馬券に絡み、前週の東京新聞杯(G3)でもカテドラルが2着に突っ込み波乱を起こしている。
【池添学厩舎の主な重賞成績(3着以内のみ)、2020年9月以降】
20年9月13日 京王杯AH ボンセルヴィーソ(13人気3着)
20年10月17日 府中牝馬S サラキア(7人気1着)
20年11月15日 エリザベス女王杯 サラキア(5人気2着)
20年12月27日 有馬記念 サラキア(11人気2着)
21年2月7日 東京新聞杯 カテドラル(12人気2着)
21年2月14日 共同通信杯 ヴィクティファルス(7人気2着)
そんな池添学厩舎は、21日のフェブラリーS(G1)にもエアアルマスという伏兵を送り込む。昨年の東海S(G2)を制覇し、フェブラリーSに名乗りを上げた直後に骨折が判明。9か月半の休養を挟み、復帰戦のみやこS(G3)で4着、チャンピオンズC(G1)では10着と故障以前のパフォーマンスは影を潜めている。
それでも、まだ6歳を迎えたばかりで調教の動きも上昇ムード。叩き3戦目の今回はまさに狙い時といえるだろう。『netkeiba.com』の予想オッズでは、池添学厩舎の“好走レンジ”ともいえる40倍台が想定されているのも心強い。
鞍上はヴィクティファルスでも穴をあけた松山弘平騎手が継続して騎乗する。3週連続で人気薄が馬券に絡むことがあれば、いよいよあの格言が定着するかもしれない。