JRA武豊「生きた心地がしませんでした」松田国英VS角居勝彦! 名伯楽2人の引退で蘇る「師弟対決」の記憶
このレースで主役となったのは、ウオッカと、そのライバルであるダイワスカーレット。角居調教師と松田国調教師の師弟対決としても話題を呼んだ。
角居調教師と武豊騎手のコンビで挑んだウオッカに対し、松田国調教師が安藤勝己騎手を配し挑んだ一戦。1番人気のウオッカが単勝2.7倍、2番人気のダイワスカーレットが単勝3.6倍で人気を分け合った。
その年のダービー馬・ディープスカイが単勝4.1倍の3番人気。4番人気のドリームジャーニーが単勝14.6倍と、完全な3強ムードの中レースは行われた。
レースは17頭立ての東京芝2000m戦。かかり気味に逃げたダイワスカーレットが、前半1000mは58.7秒とハイペースを刻む。
最後の直線に入り残り200mの勢いでは完全に外のウオッカかと思われたが、内から盛り返すダイワスカーレット。最後は2頭が鼻面を合わせてゴールし、写真判定へと持ち込まれた。
着差は、目測で判断できないほどの僅差。検量室内にある手書きの着順掲示板にも、馬番の小さい順で暫定的に7番、14番の順に書かれていた。
13分もの判定の結果、このレースをハナ差で制したのは14番のウオッカ。2着となった7番ダイワスカーレットとは、わずか「2㎝差」の決着であった。
武豊騎手はレース後「(検量室内の)ホワイトボードに劣勢の形(7番、14番の順)で出ていたこともあり、生きた心地がしませんでした。ずっと祈っていました」とコメント。騎乗したジョッキでさえ勝敗がわからないほどの接戦に、「もう同着で良いのではないか」との声も出たほどである。
このレースを演出した2人の名伯楽は今週末を最後に引退することになるが、残された感動の記憶は今も色褪せない。
2008年「名牝」が彩った世紀の一戦。2頭の活躍を通して、これからも2人の業績は語り継がれていくはずだ。