JRA弥生賞(G2)川田将雅ダノンザキッド3着も「予定通りの敗戦」発言に見えたコントレイル、サートゥルナーリアとの違い。単勝1.3倍の敗戦も、陣営が「問題なし」と考える真意とは
7日、中山競馬場で行われた弥生賞ディープインパクト記念(G2)は、4番人気のタイトルホルダー(牡3歳、美浦・栗田徹厩舎)が勝利。昨年末のホープフルS(G1)4着の実力馬が、本番の皐月賞(G1)へ大きく名乗りを上げた。
「乗りやすい馬。動きとか、パワー全てが良い」
鞍上の横山武史騎手も勝利騎手インタビューで勝ち馬を絶賛。東京スポーツ杯2歳S(G3)、ホープフルSと2連敗を喫したダノンザキッドにリベンジを果たしたことで、クラシック制覇の視界が一気に開けた格好だ。
一方、キャリア初黒星が屈辱の敗戦となったのが、単勝1.3倍という圧倒的1番人気のダノンザキッド(牡3歳、栗東・安田隆行厩舎)だった。
ここまでデビュー3連勝、それも舞台となった中山2000mはホープフルSでG1勝ち。この中間も陣営が「いい動き」と口を揃える順調ぶりで、パドックに登場した姿は『みんなのKEIBA』(フジテレビ系)のパドック解説でお馴染みの細江純子さんが「イチオシ」に推すほどの出来栄えだった。
しかし、レースでは5番手から早めに先頭集団へ並び掛けたものの、そこから本来の伸びを欠いての終戦。逃げ粘ったタイトルホルダーにリベンジを許しただけでなく、2番手のシュネルマイスターさえ捉え切れないレースぶりは、本番へ大きな不安を残した。
だが、その一方で陣営にはある程度“想定通り”の敗戦だったようだ。
レース後、主戦の川田将雅騎手は「予定通りテンションも高くて、レースは力みながらになりました。だからこそ前哨戦を使ったんです」と解説。敗れはしたが、あくまで前哨戦。皐月賞に向けての上積みを強調している。
「一昨年のサートゥルナーリア、昨年のコントレイルと、ここ2年の皐月賞馬はいずれもホープフルSの勝ち馬で、さらにトライアルを挟まない直行で皐月賞を迎えています。しかし、今年のダノンザキッドはあえて弥生賞からの始動となりました。
というのも陣営は、ダノンザキッドを叩き良化型と見込んでいるから。もともと前進気勢が強い馬なので、一度叩いてガス抜きすることで本来の実力を発揮できると考えてのトライアル出走だったようです。
そういった意味では、今回の敗戦は前向きに受け止められるものでしょうし、いい叩き台になったのかもしれません」(競馬記者)
ただ、ダノンザキッドを応援していたファンは、そうは考えていなかったようだ。
レース後、SNSや掲示板では「負けると思ってなかった」「三連単1着固定でした……」というような声が続々……単勝1.3倍という大本命馬の敗戦だっただけに、ショックを受けたファンも少なくなかったようだ。
「これで(ガスが)抜けてくれると思うし、結果は伴いませんでしたが、この敗戦を糧に本番に向かいたいと思います」
最後にはそう前を向いた川田騎手。自身が「1つの集大成」と語る師匠・安田隆行調教師とのクラシック挑戦は、まだまだ幕を開けたばかりだ。