最悪の場合、JRA「開催中止」に発展する恐れも!? 終わらない不正受給問題と犯人捜し…… 看過できないスキャンダルの鎮静化に求められる毅然とした対応
騎手13人、調教師19人を含む165人にも及ぶ関係者が判明したJRAの持続化給付金不正受給問題。事態の鎮静化を図りたいJRAだが、調教師や騎手の受給が発覚して更に火種は大きくなりそうだ。
ある新聞記者は「既に現場では誰が貰ったとか、犯人探しが始まっており、世論の動向を見ても注意して終わる話ではなくなっています。池添謙一騎手がTwitterで『そういう話は来たが、お断りした』と潔白を表明したのも、風評被害を避けたい意図もあってのことでしょう」と、心配していた。
このままでは関与していない調教師や騎手までもが疑いの目で見られる為、池添騎手が早々に自分は関係ないと宣言したのも分かる話である。
だが、対象者の数も多く、JRAがプライバシー保護を強調していることから該当者の公表はされない見込み。口頭注意のみで、何の処罰も講じなければ最悪の場合は開催中止まで追い込まれる案件だけに、対応には細心の注意が必要だ。JRAは速やかに不正受給者の氏名を公表して、罰金や騎乗停止などの納得する措置をしなければ鎮静化は難しいだろう。
池添騎手が既に受給者を把握しているかどうかは不明だ。同業者として恥ずかしいと一方的に責めるのではなく、コロナで移動制限があったので乗りたい馬も乗れなかったとフォローもしていた。
しかし、一連の騒動に対して厳しい意見があることも否定できない。
「池添騎手の『移動制限があったので乗りたい馬も乗れなかった』というのは、一部分を切り取った都合のいい話ですよ。マスコミや世論もあまり触れていませんが、何なら彼らはコロナで収入が確実に上がっているんです。
特に大きいのは短期免許の外国人騎手が来られなくなったことでしょう。例年ならR.ムーアやO.マーフィー、D.レーンなど10名程度が有力馬に騎乗して荒稼ぎしますからね。本来なら彼らに流れる数億円が日本人騎手に渡っている訳です」(別の関係者)
騎手によって影響の大小については差があるとしても、東西間の移動禁止は騎乗が出来なくなることではなく、あくまで移動に限定される内容。外国人騎手不在のお陰で得られるチャンスや、それにともなって増えた収入に比べると小さな問題に過ぎないといえる。
春まで外国人騎手の来日はない方向で、順調に収束に向かえば秋にはようやく来日できるのではないかというレベル。オリンピック開催や緊急事態宣言の解除後に再び感染者が増えれば今年の秋、そして来年も難しくなるかもしれない。
いずれにせよコロナ禍の続く現状は、結果的に外国人騎手の脅威から守られている格好の日本人騎手にとってしばらく恩恵があることは間違いないだろう。
また、別の関係者からは「1鞍乗るだけで手当てが約4万円貰える世界。ほとんどの騎手は同世代の人の何倍も所得がある中で、今回の件はこのまま終わらせる事はできないでしょう。万引きしたのを見つかっても商品を返したら無罪放免という訳でもないですし……。該当者を公表の上、しっかり処罰を課して1から出直すしか道はないのでは?」といった意見も出ていた。
3月に入り、クラシックのトライアルも続々と始まって、春G1に向けて盛り上がりを見せていくタイミングで、判明した今回の不正受給事件。
人としてのモラルに反する行為であり、受け取った受給金を返したからといって世論の納得は得られないだけに、JRAは非常に厄介な問題に直面したといえそうだ。