JRA阪神大賞典(G2)大本命アリストテレスは「何故」7着に沈んだのか。コントレイルを苦しめた3000mで安藤勝己氏も指摘した「欠点」とは
21日、阪神競馬場で行われた阪神大賞典(G2)は、3番人気のディープボンドが優勝。昨年、日本ダービー(G1)5着、菊花賞(G1)4着に終わった“名脇役”が、春の縦の主役へ大きく名乗りを挙げた。
「スタミナは豊富だし、今年の天皇賞・春は阪神なので、この内容なら期待してもいいと思います」
レース後、そう期待を隠さなかった和田竜二騎手は先週のフィリーズレビュー(G2)に続く、2週連続の重賞勝利。春のG1シーズンを前に強烈な存在感を放っている。
一方、単勝1.3倍という大本命に推されたアリストテレス(牡4歳、栗東・音無秀孝厩舎)とC.ルメール騎手にとっては、悪夢のような敗戦となってしまった。
この日の阪神競馬場は雨に見舞われてコンディションは重だったが、アリストテレスは不良で行われた前走のAJCC(G2)を快勝。舞台となる3000mは、昨年の菊花賞(G1)でコントレイルを最後まで苦しめた距離で、まさに大本命に死角なし。単勝1.3倍という抜けた人気は、妥当なオッズとさえ思われた。
しかし、レース後にルメール騎手が「途中ちょっと引っ掛かった」と振り返った通り、この日は序盤から頭の高さが目立ったアリストテレス。3コーナーと4コーナーの中間で、早くもルメール騎手からムチが飛ぶと一時は先頭集団に並びかけたが、最後は力尽きて7着に沈んだ。
「スタートもよかったですし、序盤のポジションも勝ったディープボンドを見るような好位置だったんですが、前半はずっと力んで走っている様子でした。
最後の直線でも一瞬、前を捉えるかと思われましたが、ルメール騎手がムチを入れると内側にヨレ続けて、メイショウテンゲンと接触したところで万事休すといった感じでしたね」(競馬記者)
この敗戦に、元JRA騎手の安藤勝己氏は自身の公式Twitterを通じ「馬込みで力んで、道悪でスタミナを削がれた。どうやら生粋のステイヤーではなさそうやね」とバッサリ。
アリストテレスにとっては、世代の頂点に君臨する三冠馬コントレイルの不在が濃厚な天皇賞・春は大きなチャンスになる。それだけに、不安が残る今回のレースは陣営にとっても痛恨の敗戦に違いない。
「この日は雨の影響で、いつも以上にスタミナが問われる馬場コンディションでした。AJCCでは不良馬場の2200mを勝ち切れたアリストテレスでしたが、3000mになるとスタミナが切れてしまったのかも。
昨年の菊花賞では距離適性の差でコントレイルを苦しめたアリストテレスですが、安藤さんの指摘している通り、生粋のステイヤーではないのかもしれません」(同)
「直線に入って反応したけど、突然苦しくなって……最後は疲れていた。(敗因は)馬場かもしれません」
レース後、そう敗因を分析したルメール騎手は年明け1月の重賞3勝に加え、2月にはフェブラリーS(G1)制覇と好スタートを切ったが、ここに来て失速……重賞では人気馬での敗戦を繰り返しており、これで7連敗となってしまった。