競馬ファンに賛否両論の「ウマ娘 プリティーダービー」が繋げた支援の輪。競馬ファンも賞賛する隠れた功績とは

公式HPより

 2月24日にリリースされたアプリゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」。6日間で100万ダウンロードを達成し、競馬ファンをはじめ今まで競馬に触れたことのない多くの人にもプレイされている。

 オグリキャップやサイレンススズカ、トウカイテイオーなど多くの名馬を擬人化した美少女キャラクター「ウマ娘」をユーザーがトレーナーとなって育成し、共にレースの勝利を目指すゲームとなっている。先日、同作品のアニメ第2期の最終回も放送されたことでも知られている。

 現実の競走馬のエピソードを元にしたキャラクターの再現度などにも注目が集まっているが、競馬ファンからは賛否両論の声が聞こえる。ゴールドシップの元厩務員でも知られる今浪厩務員が同ゲームをプレイして「本物のゴルシより難しい」とツイートしたことが話題になるなど競馬関係者も楽しむ一方、大手馬主の馬でも登場していない馬もいるように、影響を恐れる競馬関係者もいると聞く。

 3月30日にはTwitterのトレンドに「引退馬支援」という言葉が登場した。競馬ファンにとっては馴染みのある言葉だろう。先日も東京競馬場で約9年間誘導馬を務めたサクセスブロッケン号がフェブラリーS(G1)での誘導を最後に引退し、鹿児島の引退馬牧場ホーストラストで繋養されることになったことも記憶に新しい。

 毎年7000頭の競走馬が誕生し5000頭が引退しているといわれる競馬業界だが、引退馬となった彼らの余生は決して安泰とはいえない。馬の維持にも多額の費用がかかるために多くの馬たちが残念ながら殺処分されているのが現実だ。そのため各団体が引退馬問題の解決を目指し、日々活動している。

 そんな中でトレンド入りした「引退馬支援」、このきっかけもやはり「ウマ娘」だった。

「ウマ娘」プロジェクトがアニメ版の売上の一部を引退馬支援に関わる団体に寄付をしていることや、同作品を通して競走馬に興味を持った多くのプレイヤーが引退馬協会にも入会したり、寄付をしたりしていることが話題になったのだ。

 引退馬協会はナイスネイチャ、タイキシャトル、メイショウドトウなどを保有しており、ハルウララの所有団体に運営サポートを行なっているなど、同作品に登場するキャラクターの元となった競走馬とつながりが深い団体だ。トレンド入りしたことで、ウマ娘ファンでも競馬ファンでもない人も引退馬問題を知ることになったのは大きな一歩といえるだろう。

 この話題はウマ娘ファンだけでなく、ウマ娘に懐疑的な競馬ファンにも好意的に触れられることとなった。

 好きなコンテンツは違えど、馬を愛する気持ちはウマ娘ファンも競馬ファンも同じ。愛する競馬と切っても切り離せない関係にある引退馬問題、競馬ファンの頭の片隅にはあっても支援層の規模拡大に限界があったのは事実かもしれない。

 形はどうであれ、これまでのファンとは全く違う層に競走馬たちの魅力を広めた「ウマ娘」。競馬業界だけでなく引退馬支援にも波及していることは、賞賛に値する隠れた功績といえるのではないだろうか。

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