JRA C.ルメール「重賞12連敗」の絶不調……ニュージーランドT(G2)1番人気アヴェラーレ騎乗も15着大敗。グランアレグリアでも、アリストテレスでも連敗止まらず
10日、中山競馬場で行われたニュージーランドT(G2)は、2番人気のバスラットレオン(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)が5馬身差で圧勝。朝日杯フューチュリティS(G1)4着、シンザン記念(G3)3着馬が力の違いを見せつけ、NHKマイルC(G1)制覇へ大きく前進した。
まさに圧巻のレースぶりだった。好スタートを決めたバスラットレオンはハナを主張すると、競り掛けてくるライバルもおらず、あっさりと主導権を握った。こうなると逃げ馬の思う壺だ。鞍上の藤岡佑介騎手が刻んだペースは600m通過が35.0秒のスローペース。上がり3ハロンを34.6秒でまとめて、後続を大きく突き放してゴールした。
まさに2番人気だった人馬の狙い通りにハマったレースだったが、その一方で不完全燃焼に終わってしまったのが、1番人気に支持されたアヴェラーレ(牝3歳、美浦・木村哲也厩舎)とC.ルメール騎手だ。
NHKマイルCで2着したアルビアーノを母に持つアヴェラーレ。直前の追い切りでも、ルメール騎手から「いいコンディション。小さい馬だがフットワークも、瞬発力もいい」と高く評価されたことに加え、デビュー2連勝の実績を買われて単勝3.1倍の1番人気に支持された。
だがスタート直後、両隣りの馬に挟まれるような恰好になってやや後手を踏むと、他馬に次々と前に入られて最初のコーナーを13番手で通過。内々で脚を溜め、最後の直線に懸けたものの、開いたと思われた進路を締められる不利もあって万事休す……。
ほぼ、何もできずに15着に大敗した。
「うーん……もったいないレースでした。レース後にルメール騎手が『スタートが良くなった』と話していた通り、ゲートでやや出負けして、両側にいた馬に挟まれるような格好になったことが結果的には致命傷でしたね。
デビュー2連勝の内容を見た限り、こんな馬ではないと思いますし、進路を失った最後の直線でもほとんど無理をしていないので、敗戦のダメージが少なそうなのが唯一の救いでしょうか。『ペースも遅すぎた』と話していた通り、今回はまんまと藤岡佑騎手とバスラットレオンのペースにハメられた格好……最近のルメール騎手は、ちょっとらしくないですね」(競馬記者)
記者がそう話した通り、現在ルメール騎手は重賞で12連敗中。2月のフェブラリーS(G1)を勝ってから、この春は大舞台でことごとく敗れている。
騎乗馬には今回のアヴェラーレだけでなく、阪神大賞典(G2)で単勝1.3倍だったアリストテレス、マーチS(G3)で単勝1.4倍だったアメリカンシードなど、1番人気で惨敗するケースも目立ち、大阪杯(G1)のグランアレグリアなど2番人気以上の有力馬の騎乗が9回もあったにもかかわらず2着2回、3着1回に留まっている。
「昨年は新記録となる年間G1・8勝など、重賞17勝と大レースを勝ちまくっていたんですけどね。今年もフェブラリーSまでに重賞4勝と『さすがルメール騎手』といった感じだったんですが、春開催を迎えて急ブレーキ……。
もちろんルメール騎手が騎乗することで過剰な人気になっている馬もいますが、重賞12連敗の中で二けた着順の大敗が5回もあるなど、ちょっと気になるところです」(同)
明日の桜花賞(G1)では、無敗の女王ソダシのライバル・サトノレイナスに騎乗するルメール騎手。上位人気が確実視されているだけに、今度こそファンの期待に応えて重賞連敗を止めたいところだ。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。