JRA武豊NHKマイルC(G1)創設2年目をシーキングザパールで初勝利! 日本調教馬欧州G1初制覇もプレゼントした快速娘の記憶
9日に東京競馬場で開催されるNHKマイルC。今年で26回目を迎える比較的歴史の浅いG1レースだが、マイル以下の距離に適性のある3歳馬たちのチャンピオン決定戦として、その地位を確立している。
だが、G1昇格(元はダービートライアルのNHK杯)直後は「残念ダービー」の様相を呈していた。
というのも当時はマル外にクラシック出走権がなく、皐月賞(G1)、日本ダービー(G1)、桜花賞(G1)、オークス(G1)には、いくら高い能力があっても、外国産馬の出走が認められていなかったのだ。
そして、良くも悪くも外国産馬の高い能力は第1回の勝ち馬、タイキフォーチュンが証明してしまった。
4歳(現3歳)馬ながらオグリキャップが1990年に安田記念で樹立した東京1600mのコースレコードとなる1:32.4と0秒2差しか変わらない1:32.6で勝利。一瞬場内が静まるほどの衝撃を与えた。なお、このレコードは2004年にキングカメハメハが破るまで維持されていた。
そんなNHKマイルCのスタートだったが、2年目は米国産馬の“天才少女”がこのレースを制している。それがシーキングザパールだ。
96年7月の新潟でデビュー。抜群の調教タイムで早くから注目を浴びていたこともあって、レースでも1.2倍の圧倒的1番人気に。それを裏切ることなく、逃げ切りで後続に7馬身差をつける圧勝劇を演じた。
さらに秋のデイリー杯3歳S(現2歳S、G2)で単勝1.5倍の圧倒的1番人気に推されると、2番手追走から直線抜けだし、後の天皇賞馬メジロブライトに5馬身差をつけて圧勝。3歳のコースレコードを塗り替えるオマケもついてきた。
2度の圧勝劇を引っさげて女王決定戦、阪神3歳牝馬S(現阪神JF、G1)に出走。ここでも1.5倍と他馬を大きく離す人気に推される。レースでは3番手追走と、いつものレース運びだったが、直線で突然失速。後のG1 ・5勝馬となるメジロドーベルに4馬身半離された4着に敗れた。
敗戦の原因となった直線での失速について武豊騎手は原因がわからないとしており、いつの間にか気性難というレッテルが貼られてしまう。
マル外でなければ、順当にクラシックへの道を歩むところであったが、出走権がなかったためにクラシックを見据えて休養とはならず、1月のシンザン記念(G3)から重賞を3連勝。いずれも上がり最速を記録して1番人気に応え楽勝した。
迎えた第2回NHKマイルC。重賞3連勝の実績からも抜けた存在で、2.0倍の1番人気になる。レースは6番手追走で直線に入り、残り400m辺りで抜け出すと、そのまま後続を突き放して快勝した。
全G1制覇を目指す武豊騎手にとっては、G1昇格2年目であっさりNHKマイルCの栄冠を勝ち取ったわけで、現在のホープフルS(G1)でなかなか勝てないのとは対照的と言えよう。この後、NHKマイルCでは2001年にクロフネ、2006年にロジックで勝利しており、相性も悪くないようだ。