JRA武豊NHKマイルC(G1)創設2年目をシーキングザパールで初勝利! 日本調教馬欧州G1初制覇もプレゼントした快速娘の記憶
G1制覇を飾ったシーキングザパールは秋の目標を秋華賞(G1)に定め、休養に入った。牝馬3冠でもクラシックではない秋華賞なら、外国産馬でも出走できるからだ。秋初戦は秋華賞の前哨戦ローズS(G2)を選び、桜花賞馬キョウエイマーチと初対決。人気ではキョウエイマーチを抑えて1番人気となったが、直線で伸びきれずキョウエイマーチに逃げ切りを許して3着に敗れる。
この後も秋華賞に向けて調整が続けられていたが、ノドに異常が発見され手術を受けることとなったため断念することになった。
シーキングザパールは7カ月の休養を挟んでシルクロードS(G3)で復帰。休養明けが嫌われて4番人気となったが、ハイペースで逃げたキョウエイマーチが逃げ潰れると後方から追い込んで2着のマサラッキ、3着のシンコウフォレストをクビ+クビ差しのいで勝利を飾る。
だが、続く高松宮記念(G1)では渋った馬場に苦しめられ、前走で負かしたシンコウフォレストに0秒2差の4着に終わった。
この後、陣営としては欧州遠征の壮行戦として安田記念(G1)に出走する。しかし、数年来記憶にないと言われるほど馬場が悪化し、同じく欧州遠征の壮行戦としていたタイキシャトルの10着と大敗した。
しかし、陣営はこの敗戦の後に改めてシーキングザパールの欧州遠征プランを発表し、モーリス・ド・ギース賞(G1)への出走を明言。
実は陣営は当初、日本でも名前が知られ、格が高いジャック・ル・マロワ賞(G1)への出走を目論んでいた。しかし、タイキシャトルがこのレースを目標にしているということで、ならば1週早いモーリス・ド・ギース賞で日本初の欧州G1を制覇した調教師になってやろう、という森調教師の狙いがあったことが後に明らかになる。
7月からイギリス・ニューマーケットで調整を進めたシーキングザパールは、8月9日フランス・ドーヴィル競馬場のモーリス・ド・ギース賞に出走。フランスのこの時期は雨が多く、馬場の悪化が懸念されたが数十年ぶりという硬い馬場での開催となり、シーキングザパールに運が味方した。
5番人気で迎えたレースはスローで流れ、押し出されるように先頭に立つと、残り300mでスパートをかけて後続を振り切り、17年ぶりのコースレコード更新のオマケつきで日本調教馬初の欧州G1制覇の偉業を成し遂げた。
武豊騎手は欧州G1・ 2勝目だったが、日本人だけのチームで長年トライしてやっと勝てたレースとして「日本のホースマンにとって大きな勝利」とコメントしている。
この後、シーキングザパールは欧州に残って調整を続け、ムーラン・ド・ロンシャン賞(G1)に出走するも、相手が大幅に強化されたことや馬場の悪化で7頭立ての5着に終わっている。
帰国後、スプリンターズS(G1)では前走のマイルCSで完敗したタイキシャトルに先着するもマイネルラヴの2着になる。翌年、アメリカ遠征を挟んで高松宮記念でマサラッキの2着、安田記念でエアジハード、グラスワンダーに続く3着で現役生活を終えている。
同期のタイキシャトルの存在感が大きいが、それに負けず劣らず大人気スマホゲーム『ウマ娘』の中でも海外生活をしている個性派として、描かれている。