C.ルメール「残念宣告」にカフェファラオ陣営は八方塞り!? かしわ記念(G1)1番人気5着敗戦「深い砂で……」12月チャンピオンズC直行も
5日、船橋競馬場で開催されたかしわ記念(G1)は、地元・船橋の2番人気カジノフォンテン(牡5歳、船橋・山下貴之厩舎)が中央勢を退け、G1・2勝目。今年の川崎記念(G1)に続く、ビッグタイトルを手にした。
12頭立てで行われたダート1600mの一戦。3番手を追走したカジノフォンテンは3コーナー過ぎから進出を開始すると、先頭で最後の直線へ。ゴール前ではJRA勢のソリストサンダーが迫ってきたが、ハナ差凌いで見せた。
2番人気馬が威厳を示した一方、不甲斐ない結果に終わったのが、1番人気に支持されたカフェファラオ(牡4歳、美浦・堀宣行厩舎)だ。
レース後、主戦のC.ルメール騎手が挙げた敗因は、今年2月のフェブラリーS(G1)を制したJRAの新ダート王にとっては、あまりに残念な内容だったかもしれない。
「深い砂でスタートから、あまり進まなかった」
デビュー戦を10馬身差で圧勝し、そこから無傷の3連勝でユニコーンS(G3)も5馬身差で圧勝。カフェファラオが昨年のジャパンダートダービー(G1)で、単勝1.1倍という圧倒的な支持を集めたのは、当然の結果だった。
しかし、結果はまさかの7着。騎乗したD.レーン騎手は「最初のコーナーの所にあった車のタイヤの跡に驚いて、逆手前のままで向正面まで走ってしまい、脚のバランスを崩した」「キックバックも未経験」とキャリアの浅さを敗因に挙げた。
だが、3番手からズルズル後退する大本命馬の信じられない姿は、それ以上の“深刻な問題”を予感させた。
「実は、あの時から『地方のダートが合わないのでは』という話が関係者の間でも出ていました。地方競馬のダートは中央よりも砂が深く、それが合わない馬もいます。今回のかしわ記念でもルメール騎手が『深い砂』を敗因に挙げており、カフェファラオもそんな1頭なのかもしれません。
『1、2コーナーでいいポジションを取れた』とルメール騎手が話している通り、道中の内容は決して悪くなかったのですが、3コーナー過ぎでカジノフォンテンが上がって行った時に、まったくついて行けませんでした。本来はこんな馬ではないハズなのですが……」(競馬記者)
大レースになるにつれ、芝がメインとなる中央競馬において、ダートのトップクラスが芝馬と同じように多くの賞金を稼げているのは、偏に豊富なバリエーションを誇る地方競馬との交流重賞のおかげである。
例えば、最多勝利記録のG1・11勝を挙げたコパノリッキーは通算で約10億円の賞金を稼いだが、交流重賞で約7億円、中央ではわずか3億円に留まっている。
ちなみに、交流重賞では帝王賞や東京大賞典など年間10のG1が開催されるが、中央ではフェブラリーSとチャンピオンズCのわずか2レース。これだけを見てもダートのトップクラスにとって、地方競馬場で行われる交流重賞の適性が如何に重大なのかがわかる。
そういった意味でルメール騎手が今回のレース後に告げた言葉は、カフェファラオの今後に大きく暗雲をもたらしたと言えるだろう。
「ルメール騎手は『キツイコーナーもあまり合わない』と話していましたが、これは地方競馬場の中ではコーナーが緩い大井で開催された、昨年のジャパンダートダービーでも同じような指摘をしていました。砂も、コーナーも合わないとなると、いよいよカフェファラオが今後の交流重賞に出走する可能性は低くなりそうです。
ただカフェファラオは、すでにG1のフェブラリーSを含む重賞3勝馬。斤量やハンデ的にも中央のダートで使えるレースは限られていますし、もしかしたら今後は12月のチャンピオンズCまで出てこないかもしれません」(同)
競走馬は経済動物と称されるように「走ってナンボ」だ。馬は元気なのに適鞍がないからレースに使えないというのは、陣営にとっても辛いに違いない。
果たして、地方で2度目の屈辱を味わった中央の新ダート王は今後、どこへ向かうのか。陣営は様々な可能性を探り始めているに違いない。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。