JRA NHKマイルC(G1)幸英明「北村友一のことが頭から離れない」騎乗馬ルークズネストを巡る「複雑な背景」とは
9日、東京競馬場では第26回NHKマイルC(G1)が行われる。
現在1499勝、JRA通算1500勝に王手をかけている幸英明騎手。NHKマイルCにはデビュー以来全てのレースで手綱を取り、前走のファルコンS(G3)で重賞初制覇を挙げたルークズネスト(牡3歳、栗東・浜田多実雄厩舎)とのコンビで参戦する。
幸騎手は3日、名古屋競馬場で行われた交流重賞かきつばた記念(G3)をラプタスで勝利。翌4日に園田競馬場で行われた兵庫チャンピオンシップ(G2)もリプレーザで勝利し、見事に2日連続の重賞勝利を収めた。目下絶好調と言っても良いだろう。今週行われるNHKマイルCでは、ジュールポレールで制した2018年のヴィクトリアマイル(G1)以来、3年ぶりとなるG1制覇を目指す。
相棒ルークズネストについて、以前はトモが甘く、あまり力強さが無かったそうだが、最近はしっかりとして力が出せるようになったという。実際に前走のファルコンSでは、昨年の朝日杯FS(G1)の勝ち馬であるグレナディアガーズに、直線一度は交わされたものの、見事な勝負根性を見せて追い比べを制している。
だが一方で、幸騎手とルークズネストには、やや複雑な背景も存在している。
幸騎手は2日の阪神2Rでサンマルレジェンドに騎乗した際、向こう正面で内側に斜行し、ジャグリングの走行を妨害。開催1日の騎乗停止処分を受けている。ジャグリングに騎乗していた北村友一騎手は落馬し、椎体骨折、右肩甲骨々折の重傷を負い、以降のレースは乗り替わりとなってしまった。
クロノジェネシスやレシステンシアなど、春のG1シリーズで多くの有力馬を抱えている北村友騎手。幸騎手は「友一のことが頭から離れない。本人がすぐに『気にしないでください。僕の分まで頑張ってください』とメールをくれたのですが……」と『デイリースポーツ』で話しており、心中には複雑な思いもあるだろう。
実際、9日に行われる新潟大賞典(G3)に北村友騎手とのコンビで出走を予定していた有力馬ポタジェは、西村淳也騎手に乗り替わりとなった。ちなみに、西村淳騎手の実兄は浜田多実雄厩舎でルークズネストを担当している、西村勇哉助手である。
ルークズネストとポタジェが共に勝利を挙げることで、北村友騎手に少しでも良い報告ができるのであれば、期待したいところである。(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。