JRA 武豊「最後は甘くなった」レシステンシア切れ不足が致命傷!? ヴィクトリアマイル(G1)6着から巻き返し期す天才の手腕に注目、復活のカギはサイレンススズカ?

撮影:Ruriko.I

 16日、東京競馬場で行われた古馬牝馬のマイルG1・ヴィクトリアマイルは、C.ルメール騎手のグランアレグリアが快勝。昨年は熱発で無念の回避となったレースで見事にリベンジを決めた。

 東京芝1600mは同馬が9冠馬アーモンドアイに完勝した昨年の安田記念(G1)と同じ舞台だ。マイルで牡馬を問題にしなかった女傑が、牝馬相手に力の違いを見せつけたのも当然の結果だったかもしれない。

 その一方、圧勝したグランアレグリアから0秒9離された6着と精彩を欠いたのがレシステンシア(牝4、栗東・松下武士厩舎)だ。

 同馬は今年初戦の阪急杯(G3)を快勝し、1番人気に支持された前走の高松宮記念(G1)では見せ場十分の2着と好走。北村友一騎手の負傷により、昨年の桜花賞以来となる武豊騎手とのコンビで2番人気に支持された。

 フルゲート18頭で行われたマイル戦。注目のハナ争いは、好スタートを決めたスマイルカナが先頭を狙うが、これを内から主張したクリスティが制して逃げる。スマイルカナが控えたことで隊列は落ち着き、前半3Fは34秒3の穏やかな流れ。レシステンシアは外目の3番手の追走となった。

 マイル戦の割に大きな動きはなくスローの流れのまま、最後の直線を迎える。武豊騎手のゴーサインに応えて徐々にペースを上げていくレシステンシア。残り200m過ぎに先頭へと躍り出たのも束の間、外から猛然と追い上げてきたのがルメール騎手とグランアレグリアのコンビだ。

 懸命に追われるレシステンシアを尻目に、2頭の脚色の差は歴然。楽な手応えで後続を置き去りにしていくグランアレグリアに対し、後続馬にも交わされたレシステンシアは6着に流れ込むのが精一杯だった。

撮影:Ruriko.I

 レース後、武豊騎手は「大外枠だったので、行きたい馬に行かせた。3コーナーでは折り合いもついて、自分のタイミングで抜け出せたが、最後は甘くなった」とコメント。レシステンシア自身も上がり3F34秒1の脚を使っているものの、完全に切れ負けした格好になってしまった。

「8枠18番の大外枠はレシステンシア陣営にとって不運だったと思います。ただ、スローペースで切れ味勝負の展開については、自分から動いていけばレースの流れを変えられたかもしれません。

スローで敗れたチューリップ賞(G2)がきっかけで北村友騎手の桜花賞降板へと繋がったように、後続に脚を使わせる競馬が合っているようにも感じます。昨年のマイルCS(G1)でもスローペースで逃げて、見せ場なく敗れていました。

近走は控える競馬でも好走していましたが、出来ることなら圧勝した阪神JF(G1)のように、ハイペースで押し切る競馬を見たかったです」(競馬記者)

 グランアレグリアの力が抜けていたとはいえ、2着ランブリングアレーとはわずか0秒2差。見方を変えれば、不向きな展開で健闘したともいえるだろう。

 主戦の北村友騎手の復帰はまだ先と考えられるため、武豊騎手とのコンビ続行は濃厚だ。稀代の快速馬サイレンススズカを彷彿とさせた阪神JFから遠ざかっているG1勝利の美酒。この敗戦を糧に天才がどう修正してくるかに注目したい。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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