JRA ソダシ「完敗」で女王復権に暗雲!? 秋の変則二冠「クリア条件」満たせず、オークス(G1)敗戦からの巻き返しに立ちはだかる大きな壁

ソダシ 撮影:Ruriko.I

 23日、東京競馬場で行われたオークス(G1)は、3番人気のユーバーレーベンが優勝。鞍上のM.デムーロ騎手はラウダシオンで制した昨年のNHKマイルC(G1)以来、約1年ぶりとなるG1勝利の美酒に酔った。

 単勝1.9倍の断然人気に支持された白毛の女王ソダシ(牝3歳、栗東・須貝尚介厩舎)は、直線で伸びを欠き8着。昨年のデアリングタクトに続く、2年連続の無敗牝馬三冠の夢は樫の舞台で幻に終わった。

 最大のライバルと目されたサトノレイナスがダービー参戦を表明し、ソダシ陣営にとって負けられない戦い。

 デビューから5連勝で桜花賞(G1)を制したソダシの武器は、スッと好位で折り合える操縦性の高さとそのスピードだったが、オークスでは前進気勢の強さが裏目に出てしまった。

 好スタートを決めたソダシは先頭を奪いそうな勢いで前に行こうとする。さらには大外から内へと切れ込んだステラリアに蓋をされ、プレッシャーを受ける苦しい展開。鞍上の吉田隼人騎手も、行きたがるソダシを懸命になだめようとするが、首を上げて抵抗する素振りも見せた。

 最後の直線で伸びを欠いたのは、道中の力みがソダシのスタミナを徐々に奪っていったからだろう。マイルのような短距離であれば、ここまでの影響はなかったかもしれないが、底力を問われる東京の2400mを走り切るには大きな誤算となった。

 キャリア初の敗戦を喫したソダシの次なる目標はおそらく秋の秋華賞(G1)が濃厚だが、オークスの完敗は巻き返しを期すソダシ陣営にとって、決して楽ではないかもしれない。

 1996年に創設された秋華賞の歴史で、オークスに出走して敗れた桜花賞馬が勝利した例は98年ファレノプシス、2001年テイエムオーシャンの2回のみ。巻き返しに成功したこの2頭に共通しているのはオークスで好走していることである。いずれも敗れはしたが、見せ場十分の3着であり、8着に完敗したソダシとは決定的な違いといえる。

 そしてやはり、秋華賞の舞台でもオークス同様にクロフネ産駒に対する距離の限界は見え隠れする。11年ホエールキャプチャはオークス3着の実績がありながら3着に敗れ、17年アエロリットは7着に敗退。2頭が一介の穴馬ではなく、1番人気だったことも深刻さを物語っている。

 クロフネ産駒が未勝利だった阪神・芝1600mのG1・阪神JF、桜花賞を連勝し、過去の前例を覆したソダシだが、オークスでは芝2000m以上で未勝利のデータが立ちはだかった。折り合いに課題の残ったソダシの初黒星は、女王復権を目指す次走でも大きな影を落とすことになりそうだ。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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