JRAエプソムC(G3)武豊も「ゾッコン」だったマーベラスサンデーの重賞初制覇! 女傑エアグルーヴより愛された名馬、遅れて来たサンデーサイレンスの大物の快進撃

 13日、東京競馬場では古馬の中距離重賞・エプソムC(G3)が開催される。5月2日の天皇賞・春(G1)から続いたG1・6連戦も先週の安田記念(G1)で終了。宝塚記念(G1)が行われる27日まで、ひとまずは中休みとなる。

 その宝塚記念とエプソムCの両レースを制したのがマーベラスサンデーだ。同馬の父は、後の日本競馬界を席巻することになるサンデーサイレンス。1992年生まれの初年度産駒には、フジキセキ、ジェニュイン、ダンスパートナー、タヤスツヨシなど多くのG1勝ち馬が出たが、最も遅咲きだったのがマーベラスサンデーである。

 素質馬と評判の高かった同馬だが、体質の弱さもあってデビューしたのは4歳2月と、同世代のライバル達から遅れた。次走の条件戦も制し、クラシック候補としても期待されたが今度は脚部不安による長期休養を強いられることとなる。約1年ぶりの復帰戦こそ、直線の不利が影響して4着と敗れたが、復帰2戦目から破竹の勢いで連勝を重ねていく。

 その3連勝目となったのが96年のエプソムC。武豊騎手を背にしたマーベラスサンデーが単勝2.2倍の1番人気、前年のローズSを勝ったサイレントハピネスが2番人気、3連勝中だったヒシワールドが3番人気と続いた。

 14頭立ての芝1800m戦。先手を主張したミラクルドラゴンズとサクラエイコウオーがハナを争い。これを内からプライムステージ、外からマジックキスが追い掛けたこともあり、1000m通過が58秒2と速い流れ。武豊騎手とマーベラスサンデーのコンビは外目7番手の中団から追走となった。

 向こう正面で先頭になったサクラエイコウオーが最後の直線で逃げ込みを図るが、これを目掛けて後続勢が一気に襲い掛かる。直線半ばでプライムステージが先頭に踊り出たところで、外から猛然と追い上げたのが明らかに脚色の違っていたマーベラスサンデーだった。

 楽な手応えで先頭に立つと、懸命に追いすがるユウセンショウの猛追を退けてゴールした。2頭の着差こそ半馬身差だったが、どこまで走り続けても変わらないだろうと思えるほどの楽勝を決めた。

 遅れて来た大物の快進撃はまだまだ止まらず、この後も札幌記念(当時G3)、朝日チャレンジC(G3)、京都大賞典(G2)と重賞を含む6連勝を飾る。そして、7連勝の懸かった秋の天皇賞(G1)で初めて顔を合わせることとなったのが、歴史に残る三強対決として名高い翌年の天皇賞・春(G1)で激戦を繰り広げる相手のマヤノトップガン、サクラローレルだ。

 その後、バブルガムフェローと一騎打ちとなった宝塚記念で待望の初G1タイトルを手にすると、有馬記念(G1)2着を最後にマーベラスサンデーは現役生活に別れを告げる。翌年も現役続行予定だったものの、右前脚屈腱炎が判明してしまったからだ。

そのまま種牡馬入りとなったマーベラスサンデーだが、特筆すべき点はその生涯15戦のキャリアで一度も武豊騎手が他の騎手に手綱を譲らなかったことだろう。

 あの女傑エアグルーヴと鞍上問題が発生した有馬記念。レース中に骨折した宝塚記念から半年ぶりの故障明けだったにもかかわらず、武豊騎手はマーベラスサンデーを選択。ゴール前でシルクジャスティスの強襲に屈したものの、3着エアグルーヴにはクビ差先着。名手の相馬眼とマーベラスサンデーへの愛情を感じるレースでもあった。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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