JRAピンクカメハメハら心不全「急増」に浜中俊騎手が見解。『ウマ娘』登場のトウカイテイオー、アグネスタキオン、サクラバクシンオーなどの死因……考えられる理由とは【一部再掲】
浜中騎手の説明によると、急性心不全を発症するといきなり全身の力がフッと抜けてしまう感じで、乗っている方はどうしようもなくなるそうだ。同騎手が落馬負傷の原因となった2019年11月の京阪杯(G3)でも、ファンタジストが心不全を発症して競走中止となっている。
軽種馬育成調教センターによると、心不全は心臓が機能不全に陥り、心筋の収縮力が減退ないし消失し、全身性の血液循環障害を伴って心臓に還流する血液が完全に心室内から拍出できないために起こるそうだ。
前日まで元気だった馬が、翌朝に馬房や放牧地で死亡していたといった事例もあり、代表的な例では、日本競馬に革命を起こした大種牡馬サンデーサイレンスが蹄葉炎の後に、衰弱性心不全で亡くなっている。
また、今春『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)の大ヒットで再び脚光を浴びることになったトウカイテイオー、アグネスタキオン、サクラバクシンオーといったところも、最期は心不全が死因だった。
浜中騎手は「はっきりしたことは言えませんが」と、ことわりを入れつつ「カイバの栄養価が高くなっているのが原因なのでしょうか」と、同騎手なりの見解を述べている。
確かに調教や育成技術の向上、進化の一方で競走馬の飼い葉の改良なども因果関係が全くないとは言い切れないかもしれない。我々人間にしても一昔前から随分と食生活は変化を遂げており、当然かかる病気や死因にも変化が生じている。
浜中騎手は「いずれにしろ、このようなケースがなくなることを祈りたいです」と、最後に競走馬の無事を案じている。騎手にとって、自分の相棒が突如亡くなってしまうショックは、我々競馬ファンには計り知れない。
レースでは常に全力で駆け抜ける競走馬にとって、突然の骨折や心房細動などで競走中止となることは珍しくはない。また、現役を引退した後も突発的に死亡することもある。
これからも、ひとつでも不幸な事故が減ることを願うばかりだ。(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。