「種牡馬引退」ハーツクライの現役時代と後継種牡馬の活躍「ディープインパクトとの因縁」を振り返る
21日、ハーツクライ(牡20)が種牡馬を引退することが明らかになった。そこで今回は、同馬と、その後継種牡馬の現役時代と競馬界に残した功績を振り返りたい。
ハーツクライの代表的なレースといえば、やはり2005年の有馬記念(G1)抜きでは語れないだろう。同馬はそれまで日本ダービー(G1)でキングカメハメハ、宝塚記念(G1)でスイープトウショウ、ジャパンカップ(G1)でアルカセットのそれぞれ2着と善戦こそすれ、勝ち切れなかった。
だが、まだJRA所属前の短期免許で騎乗していたC.ルメール騎手を背に、それまで得意としていた差し追込みとは一変する先行策で、あの“無敗三冠馬“ディープインパクトに初めて土をつけてみせた。その後は海外遠征にも挑戦し、ドバイシーマクラシック(G1)を勝つ活躍を見せたが、その後、喘鳴症を発症し引退、種牡馬入りとなった。
2007年から種牡馬入りしたハーツクライは、現在までに、後継種牡馬としてウインバリアシオン、ジャスタウェイ、ワンアンドオンリー、シュヴァルグラン、スワーヴリチャードなどを輩出している
ウインバリアシオンは2008年にスーパーバレリーナ(母父:Storm Bird)との間に生まれ、G1勝ちこそ無いものの、青葉賞(G2)、日経賞(G2)を勝ち、日本ダービー、菊花賞(G1)、有馬記念でオルフェーヴルの2着、春の天皇賞(G1)でフェノーメノの2着と活躍した。現在は青森県の荒谷牧場で繋養されており、活躍馬の誕生が待たれる。
ジャスタウェイは2009年にシビル(母父Wild Again)との間に生まれ、秋の天皇賞(G1)、ドバイデューティフリー(現ドバイターフ・G1)、安田記念(G1)を勝ち、ワールド・サラブレッド・ランキングに日本競馬史上初の単独1位になる活躍を見せた。現在はブリーダーズ・スタリオン・ステーションに繋養されており、産駒には既にホープフルS(G1)勝ち馬ダノンザキッド等が活躍している。
ワンアンドオンリーは2011年にヴァーチュ(母父タイキシャトル)との間に生まれ、日本ダービーを勝ち、前年のキズナに続く生産牧場ノースヒルズの連覇となり話題となった。現在はアロースタッドに繋養されており、活躍馬の誕生が待たれる。
シュヴァルグランは2012年にハルーワスウィート(母父Machiavellian)との間に生まれ、ジャパンカップを勝ち、半姉のヴィルシーナと共に、生まれつき尻尾の無い母からG1馬続出と話題になった。現在はブリーダーズ・スタリオン・ステーションに繋養されており、初年度産駒は2023年デビュー予定。
スワーヴリチャードは2014年にピラミマ(母父Unbridled’s Song)との間に生まれ、大阪杯(G1)と2019年に死亡したディープインパクトを記念し副題としたディープインパクトメモリアル第39回ジャパンカップを勝ち、2着から4着までディープインパクトの子が入着したことで、親子の因縁と話題となった。現在は社台スタリオンステーションに繋養されており、初年度産駒は2023年デビュー予定。
他にも、現役世代にはサリオス等の活躍馬がおり、将来的に種牡馬入りが期待されている。世界を股にかけた活躍を見せるハーツクライの血が、今後、どのような発展を遂げるか、孫の世代でもディープインパクトとの因縁の対決となるか、楽しみに見守りたい。
(文=蓬莱貴生)
<著者プロフィール>
小五でダビスタにハマり競馬と出会い二十余年。馬券よりも浪漫を求めがちだが、WIN5を買い始めから二戦二勝したことが些細な自慢。なお、現在の戦績は数えないようにしている。