JRA C.ルメール「棚ぼた」クロノジェネシスで続投アピールも期待薄!? 北村友一効果で宝塚記念(G1)7連敗阻止に成功も……、母国フランスこそが真の鬼門か
27日、阪神競馬場で行われた宝塚記念(G1)は、1番人気のクロノジェネシス(牝5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)が優勝。主戦・北村友一騎手の落馬負傷によりC.ルメール騎手が騎乗したが、完璧な立ち回りで期待に応えた。
レースは13頭立ての芝2200m戦。外回りに比して直線の短い内回りとトリッキーなコースであったが、好スタートから4番手の好位を先行すると終始手応えは抜群。クロノジェネシスは、直線でルメール騎手の鞭に反応して加速すると、前で競り合うユニコーンライオンとレイパパレを一気に交わし勝利を飾っている。
テン乗りで見事な結果を残したルメール騎手は、フランス出身のジョッキー。レース後に「クロノジェネシスはヨーロッパ血統で、柔らかい馬場でも良いパフォーマンスができます。海外、特にフランスでは良い結果を出せると思います」と話したのは、もちろん凱旋門賞(G1)での継続騎乗をアピールする意図もあったのだろう。
この勝利に、クロノジェネシスのオーナーであるサンデーレーシング代表の吉田俊介氏も「今後は凱旋門賞に行きたいですね。馬場が悪くなっても対応できるし、こういう馬で行きたいと思っていました」とコメント。日本競馬史上、未だ勝利のない凱旋門賞制覇に意欲を見せた。
これまでサンデーレーシングの所有馬では、オルフェーヴル、フィエールマンが凱旋門賞に挑戦。特にオルフェーヴルに関しては2年連続の2着と、日本競馬の悲願にあと一歩のところまで迫ったのは記憶に新しい。
一方で、フィエールマンはルメール騎手が騎乗して12着に惨敗。吉田俊介代表が「こういう馬で行きたい」と語ったのは、ここに真意が隠されていそうだ。
フィエールマンは、軽い馬場が特徴でもある日本の主要血統・ディープインパクト産駒。ルメール騎手もこれまで凱旋門賞に日本馬で3度挑戦しているが、マカヒキ(14着)、サトノダイヤモンド(15着)、フィエールマンとその全てがディープインパクトの仔であった。
それに対して、クロノジェネシスは2004年に凱旋門賞を制しているバゴの産駒。2017年にサトノダイヤモンドで凱旋門賞に挑んだ際、競馬ライター・平松さとし氏のインタビューにて「日本馬で凱旋門賞を制すのが僕の夢」と語っているルメール騎手にとっては、鞍上の座を何としても勝ち取りたいはずである。
しかし、そんなルメール騎手には「ディープインパクト産駒」だったから……と、言い訳ができない過去もあるようだ。
「これまで凱旋門賞では11回騎乗しているルメール騎手ですが、日本馬以外でも地元馬ですら8戦1連対と成績がよくありません。ディープインパクトの参戦で日本中の競馬ファンが注目した2006年の凱旋門賞ではプライドに騎乗して2着と健闘しましたが、これも直線で外に持ち出せず脚を余してのものでした。凱旋門賞での勝利実績がないだけに、宝塚記念を勝ったからといって安泰とはいえないかもしれません」(競馬記者)
このときは後方の内を進んで外に持ち出せたのが残り200m地点。ゴール前の脚色からは、確かにスムーズならと思わせるものだった。
宝塚記念では、6年連続で馬券圏外という成績を見事に覆したルメール騎手。クロノジェネシスとのコンビ継続となるなら、凱旋門賞でもジンクスを打ち破る騎乗に期待したい。
(文=北野なるはや)
<著者プロフィール>
某競走馬育成牧場で働いた後、様々なジャンルの仕事で競馬関連会社を転々とする。その後、好きが高じて趣味でプログラミングを学習。馬券には一切のロマンを挟まないデータ派であるが、POG(ペーパーオーナーゲーム)では馬体派という奇妙な一面も持つ。