JRA武豊「ここ笑うところですよ」ユーモアたっぷりの舌好調! ロンでキタサンブラック長男を撃破、逃げ切ったのに「後ろから5番手」の真意とは
1日、函館競馬場で行われた5Rの2歳新馬戦は、武豊騎手が騎乗の3番人気ロン(牝2、栗東・石橋守厩舎)が優勝。2着に2番人気ジャスティンスカイ、3着に5番人気レモンケーキが入り、1番人気のシャーマンズケイブは、勝ち馬から2秒1も離される最下位に大敗した。
「初めて跨ったけど、走りそうな雰囲気がありましたね。”後ろから5番手”で押し切りました。ここ笑うとこですよ(笑)。反応がすごくいいから、少しゴーサインを出しただけでスッと動いてくれた。楽しみな馬です」
デビュー戦の手綱を取った武豊騎手から、“珍コメント”も飛び出したほどの快勝だった。
芝2000mで争われたレースは、わずか5頭立て。外からスタートしたロンは、他に行く馬がいないと見るやハナを奪って先頭に立つ。C.ルメール騎手のジャスティンスカイが、そのまま2番手につけて隊列が落ち着いた。
まんまとマイペースの逃げに持ち込んだロンの刻んだラップは、1000m通過63秒0のスローペース。残り600m過ぎから一気にペースが上がるも、余力十分のロンは終始楽な手応え。
最後の直線に入って後続との差は詰まるどころかさらに開き、ゴール前では鞍上の武豊騎手が流す余裕も見せてゴール。2着に流れ込んだジャスティンスカイに3馬身半の差をつける大楽勝だった。
「頭数は5頭立てと少なかったですが、ロンの勝ち方はなかなかでした。マイペースに持ち込めたこともありますが、逃げて上がり3ハロン最速をマークしている訳ですから、弱い馬にできる芸当でもないでしょう。
武豊騎手も楽しみとコメントしているように、上のクラスを目指せそうな雰囲気もあります。将来的なことを考えても、2000m戦で楽勝できたのは大きいです」(競馬記者)
そこで気になるのは、武豊騎手が残していた「後ろから5番手」で押し切ったというコメントだ。通常なら差し、追い込み馬に適した表現だが、どうやら5頭立てのレースで逃げたことを後方から5番手という意味だったらしい。
「ここ笑うところですよ」とおどけて見せたレジェンドジョッキーは、相変わらずユーモアたっぷり。2着に負かした相手は、誕生した際に主戦の立候補をしていたキタサンブラック産駒“第1号”のジャスティンスカイ。
残念ながら希望は通らなかったが、“フラれた”相手をシルバーステート産駒で見返した名手はまだまだ舌好調だ。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。