JRA「次元の違う脚を使われて……」6年前キタサンブラックと共に脱帽した男の数奇な運命!? M.デムーロ、天国の盟友ドゥラメンテへ捧げる重賞制覇の一方で
5日、新潟競馬場で行われた新潟記念(G3)は、12番人気のマイネルファンロン(牡6歳、美浦・手塚貴久厩舎)が勝利する波乱の結果。本馬にとって2019年4月以来、約2年5か月ぶりの勝利が嬉しい重賞初制覇となった。
「とっても嬉しいです!」
今週、競馬界は2015年の二冠馬ドゥラメンテのあまりにも早過ぎる訃報によって、悲しみに包まれた。そんな盟友とのタッグで当時を席巻したのが、M.デムーロ騎手だ。
あれから6年の時が経ったが「僕の乗った中で一番強い馬。間違いない」とまで断言するドゥラメンテの死に、この男が燃えないはずがなかった。スタートは決して良くなかったが、腹を括って後方から。最後の直線で外ラチ一杯まで大外に持ち出すと真一文字に突き抜け、天国の友に朗報を届けた。
その一方、2015年当時、そんなドゥラメンテ&デムーロ騎手の強さをまさに目の当たりにしていたのが、浜中俊騎手だ。
「個人的に『すごい強い』というイメージで、無事だったら、もっと(G1を)勝っていたでしょう」
『中日スポーツ』のコラムで当時のドゥラメンテをそう振り返っている浜中騎手。詳細は本コラムをご覧いただきたいが、2015年の皐月賞(G1)でキタサンブラック(3着)と共に本馬と戦ったのが浜中騎手だった。
キタサンブラックといえば北村宏司騎手と武豊騎手のイメージが強いが、皐月賞当時に北村宏騎手が騎乗停止になったため、浜中騎手が代役として騎乗した。後の7冠馬キタサンブラックをして「ゴール前で次元の違う脚を使われて、あっさりとかわされてしまいました」と脱帽した浜中騎手にとっても、ドゥラメンテは強烈なインパクトがあったようだ。
この日の小倉2歳S(G3)では、そんな浜中騎手がナムラクレアとのコンビで勝利したが、これもまたドゥラメンテの訃報が呼び込んだ“数奇な運命”だったのかもしれない。
実は当初、ナムラクレアには和田竜二騎手が騎乗予定だった。しかし、前日の札幌2歳S(G3)でドゥラメンテ産駒の騎乗馬ダークエクリプスが放馬した際に、左足の関節を捻挫。この日も全頭が乗り替わりとなり、浜中騎手に巡ってきたのがナムラクレアだったのだ。
「今朝、乗り替わりを知ったんですけど、結果を出せてホッとしています」
レース後、そう心境を語った浜中騎手。新潟記念を勝ったデムーロ騎手と共に、今週はドゥラメンテと縁のあるジョッキーたちが重賞で結果を残した。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。