JRA武豊でも、川田将雅でも、福永祐一でもダメ……大塚亮一オーナー「3.6億円馬」ザレストノーウェア「最後の未勝利戦」でも見せ場なし
2015年の2冠馬ミッキークイーンの全弟として、一昨年のセレクトセール1歳部門で最高落札額となる3億6000万円を記録した超エリート。落札したのは「アドマイヤ軍団」の総帥として有名な近藤利一さんだったが、後に他界したことで大塚亮一オーナーの所有馬となった。
2歳になって関西の名門・友道康夫厩舎へ入厩し、デビュー戦の鞍上は武豊騎手。ここまで文句のつけようもないエリート街道にも見えるが、デビュー戦で5着に敗れると、仕切り直しの未勝利戦では川田将雅騎手を配して1番人気に推されるも10着に大敗……。
この日、大塚オーナーの所有馬ワールドプレミアで今年の天皇賞・春(G1)を制した福永祐一騎手に最後の望みを託したが、後方から7着まで追い上げるのがやっとだった。
「セレクトセールで史上11位となる3億6000万円を記録したこともあって、幼駒の頃の評判が高い馬でしたが、どうにも脚元に問題があったようで、なかなかレースを使える状態に仕上げられなかったようです。
その後、左後肢を骨折してしまってデビュー戦は3歳2月と遅くなり、まさかの4番人気という“低評価”……結果論ですが、この時点でもう歯車が狂っていたと言わざるを得ません。
今後は現役を続行するなら、1勝クラスへの格上挑戦や地方への移籍などが選択肢になりますが、ダートで実績が劣るディープインパクトの産駒だけに、やはり現役続行なら中央の芝で頑張ってほしいですね。
それにしても、セレクトセールの高額馬は何故、走らないのでしょうか……」(競馬記者)
記者がそう話す通り、日本……いや、世界最高峰の競走馬競り市セレクトセールには、超高額で落札された馬が何故か期待されたような活躍ができないジンクスがある。
「唯一抜きんでて並ぶ者なし」という馬名の意味からも、大塚オーナーの特別な期待が伝わってくるザレストノーウェア。最後の未勝利戦を敗れてしまったが、キャリアはまだ3戦。このまま引退するにはあまりにも惜しい素材だ。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。