JRA川田将雅「多くの方にご迷惑をお掛けするが……」熱く語った米国遠征の理由。2週間隔離でエリザベス女王杯(G1)レイパパレ蹴ってでも叶えたい夢
8日、今春のクイーンエリザベス2世C(香G1)でG1・2勝目を挙げたラヴズオンリーユー(牝5歳、栗東・矢作芳人厩舎)が、ブリーダーズCフィリー&メアターフ(米G1)もしくはブリーダーズCターフ(米G1)へ川田将雅騎手で挑むことがわかった。本馬が所属するDMMバヌーシーの公式Twitterで発表されている。
先月の札幌記念(G2)でソダシの2着と貫録を見せたラヴズオンリーユー。かねてからブリーダーズC挑戦が注目されていたが、ファンを驚かせたのは主戦の川田騎手が共に米国遠征を敢行することだろう。
依然、世界的に深刻なコロナ禍にある状況。川田騎手が11月6日に米デルマー競馬場で開催されるブリーダーズCに騎乗した場合、帰国後14日間の自主隔離によって日本のエリザベス女王杯(G1)やマイルCS(G1)といったビッグレースに騎乗できない。
「川田騎手とのコンビで今春の大阪杯(G1)を勝ったレイパパレが、9月のオールカマー(G2)から始動しますが、その後はエリザベス女王杯に向かうことが濃厚です。
また川田騎手は、今春の安田記念(G1)をダノンキングリーとのコンビで、女王グランアレグリアを破って優勝。このままコンビ継続でマイルCSへ出走するなら、大本命として迎えるでしょうし、統一マイル王が懸かる重要なレースになります。米国遠征するなら、これらには騎乗できないことになりますね。
それも川田騎手は人一倍義理堅いことで知られており、武豊騎手ら同じ日本人のトップジョッキーと比較して、どうしても国内の関係者に影響が出てしまう海外遠征に積極的ではない印象がありました。それだけに自主隔離のリスクを負っての、今回の米国遠征は驚きましたね」(競馬記者)
「幼い頃から夢見ていたブリーダーズCという舞台に、僕を選んでくれたことを本当に嬉しく思いました」
川田騎手がそう心境を語っているのは、DMMバヌーシー公式チャンネルだ。詳細は動画を視聴していただきたいが、ラヴズオンリーユーとのブリーダーズC挑戦が決まったことで、DMMバヌーシーの会員に向けて決意を語っている。
「20年弱ジョッキーをやってきまして、こういう機会を頂けたのは初めて」と話している通り、川田騎手にとっては初のブリーダーズC挑戦。14日間の自主隔離のため、エリザベス女王杯やマイルCSといった日本のレースに騎乗できないが「多くの方にご迷惑をお掛けするので、それを押してでも是非とも行かしてほしい」と熱い思いを表明している。
「幼い頃から競馬の世界で育って、地方の佐賀競馬場ですし、JRAという舞台すら遠い世界で……」そんな川田騎手の根底にあるのが、佐賀競馬で調教師をしている父・川田孝好さんの影響だったようだ。幼少期に父と共に凱旋門賞やブリーダーズCの映像を見て、強い憧れを持っているという。
「今年のブリーダーズCにはラヴズオンリーユーの他にも、川田騎手が主戦を務めるマルシュロレーヌ(ブリーダーズCディスタフ・G1)やグレナディアガーズ(ブリーダーズCマイル・G1)といった有力馬も挑戦を予定しています。
主戦騎手の米国遠征が決まった以上、米国でもそのまま騎乗することが濃厚ですし、日本での充実ぶりからもチャンスはあるかと」(別の記者)
「今回、ブリーダーズCへ挑戦という形にはなりますけど、こちらの認識としては『勝ちに行くためにブリーダーズCへ』というところ。結果を出すためにブリーダーズCへラヴズと共に、関係者のみんなと共に行きます」
DMMバヌーシー公式チャンネルの動画の中で、そう力強く決意表明した川田騎手。ちなみにこれまで日本人騎手が、米国競馬の祭典ブリーダーズCを勝利した例はない。果たして、幼少の頃からの夢を叶えることができるか、川田騎手自身のキャリアの中でも非常に大きな挑戦になりそうだ。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。