JRA福永祐一「痛恨クビ差」で大器ピクシーナイトに黄色信号!? スプリンターズS「賞金的に勝たないと」セントウルS(G2)2着でトップクラス証明も

レシステンシア 撮影:Ruriko.I

 12日、中京競馬場で行われたセントウルS(G2)は、1番人気のレシステンシアが勝利。同舞台で行われた春の高松宮記念(G1)2着の雪辱を果たす秋のスプリンターズS(G1)へ、まずはライバルたちに貫録を見せつけた格好だ。

 その一方で、そんな勝ち馬をあと一歩まで追い詰めた3歳馬のピクシーナイト(牡3歳、栗東・音無秀孝厩舎)のスプリンターズS出走が怪しくなっているようだ。

「賞金的に勝たないとスプリンターズSに出られない可能性が高い馬なので、ある程度結果を求めた騎乗になると思う」

 レース前、主戦の福永祐一騎手がそう決意を語った通り、最後の直線は鬼気迫る追い上げ。開幕週の馬場を味方に、得意の勝ちパターンに持ち込んだレシステンシアをクビ差まで追い詰めた。

 この結果にはレシステンシアの鞍上C.ルメール騎手も、勝利騎手インタビューの開口一番「ギリギリセーフでした(笑)」と両手を広げるジェスチャー。王者ダノンスマッシュに次ぐスプリント界No.2を追い詰めたピクシーナイトは、本番のスプリンターズSでも楽しみな1頭に違いないが、短距離頂上決戦は今年も狭き門になるかもしれない。

「福永騎手がレース前に話していた通り、今年のスプリンターズSは6年連続のフルゲート(16頭)が濃厚です。重賞勝ち馬も多く、賞金ボーダーがかなり上がっている状況。ピクシーナイトにしても、すでにシンザン記念(G3)を勝ち、CBC賞(G3)で2着と3歳世代でも上位の賞金額を稼いでいますが、それでも出走が危ぶまれています。

無論、それは陣営も重々承知していることで、最終追い切りで併せ馬を4馬身もちぎるなど、(スプリンターズSの)前哨戦とは思えない内容。勝ちに行く仕上がりだったと思いますが、あと一歩届かなかったことは陣営にとっても痛恨だったと思います」(競馬記者)

 この状況には、ネット上の競馬ファンもSNSや掲示板などで「ピクシーナイト出られないとか、マジ!?」「重賞1勝、2着2回で賞金足りないとか」とピクシーナイトの今後を心配する声が続々……。

 中には「この馬を本番で見られないのはJRAの損失」「若い馬に不利な賞金ルールを変えるべき」など、出走決定ルール自体の見直しを求める声もあった。

「ピクシーナイトはデビューから7戦すべて福永騎手が手綱を握っていますが『それくらい手放したくない素材ということ』と惚れ込んでいる逸材。本格化は来年以降になりそうですが、今回のセントウルSの結果を見ても実力はすでにトップクラスですし、スプリンターズSに出走しても人気の一角になると思います。そんな馬がもし出られなかったら、馬券売り上げにも多少の影響はあるでしょうね。

G1などの大舞台で素質のある若い馬が出走できないことは珍しくないですが、例えばセントウルSやキーンランドCといった関連性の高いレースの3着までに優先出走権を付与するなど、毎年のようにフルゲートになっているスプリンターズSの出走馬決定にも改善の余地がありそうです」(別の記者)

「開幕週の外枠という条件の中で、よく差し込んで来てくれた。勝って大きく賞金を加算したかったが、強い相手にもよく健闘してくれました」

 レース後、福永騎手がそう語った通り、2着に入ったことで収得賞金を加算できたことは、ピクシーナイトにとって不幸中の幸いだろう。もしスプリンターズSに出走できなければ、改めて議論を呼ぶかもしれない。

(文=大村克之)

<著者プロフィール>
 稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。

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