元JRA佐藤哲三「厳しいこと言わない方がいいかな」、怒りの矛先は戸崎圭太!? 南部杯(G1)ソリストサンダーの騎乗に不満爆発?
11日、盛岡競馬場で行われたマイルCS南部杯(G1)は、1番人気に支持された田辺裕信騎手のアルクトス(牡6歳、美浦・栗田徹厩舎)が優勝した。8枠16番の大外から好発を決めると、外目の好位3番手からの競馬。直線で力強く抜け出すと、2着のヒロシゲゴールドに2馬身半の差をつけて圧勝した。昨年に続いての優勝を決め、史上7頭目の同レース連覇を達成した。
同レースは昨年1番人気が敗れ、3連単の配当が約12万円と波乱の決着だったこともあり、今年は1番人気に支持されたアルクトスの単勝オッズが3.2倍だったように、決して大本命という評価ではなかった。
JRA通算938勝を誇る元騎手で競馬評論家の佐藤哲三氏もそう考えていた一人だった。
佐藤氏はYouTubeチャンネル『rakuten keiba』で11日15時40分から放送開始された『岩手競馬LIVE!真の達人は誰だ!?予想ランクバトル!(第34回マイルCS南部杯)』へ出演。同じ元JRA騎手の細江純子氏と「TEAM 元JRAジョッキーズ」を組み、馬券勝負で番組を盛り上げた。
「佐藤氏と細江氏のチームは、大一番の南部杯で3連複6頭ボックスなど手広く馬券を購入していました。16頭立てのレースとはいえ、7番人気までをJRA勢が独占したことから分かる通り、実質“7頭立て” みたいな下馬評でした。
人気馬同士の決着では配当も低くトリガミになる可能性もあるので、配当的な妙味もあるソリストサンダーやインティの単勝なども購入して工夫していました。
惜しくも馬券勝負はハズレてしまいましたが、佐藤氏は元騎手ということでレース回顧を担当。ただ、レースで騎乗した各騎手の乗り方には、不満が溜まっていたようです」(競馬誌ライター)
「ペースは落ち着いたかなという感じがします」と、切り出した佐藤氏が最初に注目したのは、やはり勝ったアルクトス。「マイペースで3、4番手の外、勝ちパターンのポジションだと思うんで」と、田辺騎手の位置取りについて褒めていたが……。
「いつもは冷静にレースを振り返る佐藤氏ですが、この時は最初から非常に声のボリュームが大きかったです。あれ?と不思議に思っていましたが、嫌な予感は的中してしまいました」(同)
「(アルクトスの)近くにいるジョッキーが仕掛けられないというのは、僕はどうなのかな」と、やや激しい口調へと変わった佐藤氏。不穏な空気を察した司会者の女性が思わず「どうなのかな(笑)なるほど」と、さり気なく場を収めようとするシーンもあったが、「はい」と、佐藤氏はこれまでと変わらないトーンで返す。
「佐藤氏は楽な手応えで先行していた馬に対し、3・4コーナーで他の騎手が仕掛けていかない消極的な騎乗に納得がいかない様子でした。『外からけしかけてもよかったんじゃないかなと思うけどね。勝つんだったら』と、熱弁していました」(同)
続けて女性司会者から『佐藤さんが乗られていたら』という質問に対し、『並びかけにいくかな、絶対。だって、前止まらないのに。楽させすぎかな』と、“騎手”佐藤哲三で回答。そして、とうとう佐藤氏がここまで声を荒げることになった「原因」が判明する。
「さらに『騎乗面で思うところが』と聞かれるとまさにその通り。『15番のソリストサンダーについてですよね』と、あっさり言い当てられましたが、佐藤氏が本命に推していたのが、実はソリストサンダーでした」(同)
元騎手の佐藤氏だけに、思わず現役時代を思い出して熱くなったのかもしれない。「内に入っていってるんで、僕の本命馬は。あまり、よろしくないんじゃないかな。ちょっと内に刺さっているんで。そういうところ、内に寄せすぎじゃないかな」と、もし自分が騎乗していたなら、“こんな乗り方はしなかった”とも言いたそうな雰囲気だった。
これには本人もハッとしたらしく、回顧の後半で「あんまり厳しいこと言わない方がいいかな」と、言って少し冷静さを取り戻していたが、元騎手の説得力ある解説にファンから「なるほど」・「確かに」と、納得の声も上がっていた。
ソリストサンダーを本命に推していた佐藤氏としては戸崎圭太騎手の騎乗に対し、思うところもあったのだろう。レース回顧で少し熱くなったことも、騎手目線も加味した上で真剣に予想をしているからに違いない。
これから秋競馬に本格的に突入し、競馬評論家の佐藤氏の出番も増えるはず。引き続き、佐藤氏の“熱い”解説に期待したい。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……