JRA「1点勝負」で信頼度抜群!? 府中牝馬S(G2)連対率100%ルメールと「あの騎手」
16日、東京競馬場で行われる府中牝馬S(G2)に好メンバーが集結。阪神牝馬S(G2)で重賞初制覇を果たしたデゼルや、重賞戦線で好勝負を演じているマジックキャッスルの他にも、楽しみな馬が集まった。
このレースを大の得意としているのがC.ルメール騎手だ。
過去10年で4度の騎乗機会を持つ同騎手は2勝、2着2回とパーフェクト連対を果たしている。なかでも2015年には11番人気ノボリディアーナを勝利に導く好騎乗をみせており、単勝3,200円の高配当を演出。ルメール騎手の単勝でこれだけの配当がつけば、かなりの馬券的妙味があったといえるだろう。
こうした好相性を背景に、今年の同重賞でルメール騎手とコンビを組むのはドナアトラエンテ(牝5歳、美浦・国枝栄厩舎)。前走クイーンS(G3)では川田将雅騎手が騎乗して11着。「洋芝ですし、重い馬場には合わないのかと思います」と、川田騎手が馬場に敗因を求めた同馬に、ルメール騎手が今年1月の初富士S以来の手綱を取る。
出走馬18頭のうち、前走・川田騎手が手綱を取った馬が4頭もいる今年の府中牝馬Sで、デゼルへの継続騎乗を選択した川田騎手。一方で、再びドナアトラエンテに騎乗するチャンスを得たルメール騎手のどちらに軍配が上がるか。トップジョッキー同士の良血馬を巡るハイレベルな戦いにも注目したい。
騎手のチェンジといえば、M.デムーロ騎手も新たな馬とコンビを組む機会を得た。
昨年の秋華賞(G1)を除いて過去15戦しているミスニューヨーク(牝4歳、栗東・杉山晴紀厩舎)に騎乗していたのは加藤祥太騎手。デビュー以来、“お手馬”としてキープしていた貴重な同馬だが、今回はデムーロ騎手にチェンジとなってしまった。
同馬を管理する杉山晴師は「小回りコースの1800mにこだわっていると適当な番組がないので、初めての東京で新たなチャレンジになると思います」とコメント。同時に鞍上も一新する策に出たようだ。
今年の府中牝馬Sでは、共に乗替わりで挑むルメール騎手とデムーロ騎手。騎乗技術もさることながら、なんといっても2人の魅力はその“勝負強さ”にある。特に多額の賞金が懸かるビッグレースで好走した例は枚挙にいとまがない。また同重賞に2人が同時に騎乗した時の成績は特筆モノで、過去10年で同時騎乗を果たした2015年から18年の4回のうち3回は、1・2着を両騎手で独占しているから驚きだ。
果たして今年の府中牝馬Sでも、「ルメ・デム」コンビがその威力を発揮するか。いずれにせよ過去の好相性から“不気味”な存在といえるだろう。
今週の秋華賞を皮切りに、来週の菊花賞、再来週の天皇賞・秋と続く秋のG1シリーズ。レース後に「またルメールとデムーロか」と後悔しないためにも、重賞ラッシュが続くこの時期こそ、改めて2人の騎乗ぶりに注意したい。
(文=鈴木TKO)
<著者プロフィール> 野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。