元JRA藤田伸二「自信過剰」吉田隼人にイラッ!? 秋華賞(G1)本命ソダシ声援も実らず…… 騎乗フォームにも「岩田じゃないんだから」とダメ出し
17日、阪神競馬場で開催された秋華賞(G1)は、4番人気のアカイトリノムスメがゴール前で抜け出して優勝。名牝アパパネの娘が見事、最後の一冠で親子制覇を成し遂げた。
一方、同じ金子真人オーナーが所有するソダシは直線で伸びを欠き、まさかの10着。単勝オッズ1.9倍の断然1番人気を裏切る結果となった。
この大敗を受け、騎乗した吉田隼人騎手は「ファンの皆さんの気持ちに応えられず、申し訳ない気持ちです」とコメント。まさかの大敗にショックを隠せなかった。
そしてこの吉田隼騎手の騎乗に物申したのが元JRA騎手の藤田伸二氏だ。
藤田氏はこの日、15時から自身のYouTubeチャンネルでライブ配信を敢行。ファンの質問に答えながら、お酒の力も借りていつも以上に上機嫌で配信は進行した。
もちろんレース前には秋華賞の予想を披露。本命に抜擢したのは白毛馬ソダシだった。「とりあえずソダシが強いだろうっていうのをもう認めよう」と切り出した藤田氏。その後も、「ソダシは別格」、「隼人を信用して馬単1着流しで……」と、桜花賞(G1)に続く二冠獲得を信じて疑わなかった。
そして迎えた発走時間。ソダシが好スタートを切り、好位にとりつく場面を見届けると「もうこの時点で隼人は『はい、十二分』と思ったと思う」と理想の位置を確保した後輩の心理を読んでみせた。
レース中盤を迎え、1分1秒2という1000m通過ラップを聞いた藤田氏。『ちょっと遅いね。ソダシもう楽勝するかも』と早くも勝利を確信しながらも、テレビ画面に目をやった次の瞬間、藤田氏の表情が一気に曇り、こう言い放った。
「隼人!? まだはいーって(早いって)!おまえ、エイシン(ヒテン)は相手じゃねーんだって!なんで後ろから来る馬待たねーんだよ!」
この時点でソダシは特に後ろからプレッシャーをかけられたわけではなかったが、吉田隼騎手はスパートをかけ、エイシンヒテンに並びかけにいく積極的な競馬を見せた。結果的に、これが響いたのか、ソダシは直線で失速。オークス(G1)以来となる黒星を喫した。
「藤田氏が吉田隼騎手の早仕掛けをいち早く察知したのは、さすが元一流騎手だと思いました。最後の直線でも一縷の望みをかけ、ソダシに声援を送っていたのですが……。
ソダシの敗戦を受け、レース直後はやや口数を減らしていた藤田氏ですが、レース終了から1分ほどが経ったときに突如怒りが頂点に達しました」(競馬誌ライター)
「俺が一番(レースを)見ていて、馬券を買ってイラッときたのが、隼人があのスローペースで4コーナー手前から、後ろからつつかれているわけでもないのに自分からエイシンを食ってかかりに行ったっていうのが……」と鞍上の早仕掛けを批判。
「ある意味、今日は自信過剰になりすぎた騎乗だったのかな」と続けた。さらに「隼人、おまえこれ騎乗ミスやぞ。今日は……」、「なんで自分で動くんだ。後ろから来るまで引きつけるくらいの気持ちがないと、それくらい強い馬なんだから。もっと馬を信じて乗るべきだった」と自身の見解を述べた。
その後、リプレー映像で直線の吉田隼騎手の騎乗ぶりを改めて目にした藤田氏は「隼人、おまえ、その尻もちつくような追い方するなよ。康誠(岩田康誠騎手)じゃないんだから……」と、怒りは収まらず、最後は“宿敵”の名前も出して、その騎乗フォームにも苦言を呈していた。
勝利を信じて疑わずレース前まで上機嫌だった藤田氏だったが、ソダシの惨敗を受け、まさに天国から地獄に落とされた気分になったことだろう。次週の菊花賞(G1)でも“舌好調”な藤田節を聞かせてもらいたい。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。