JBCスプリント(G1)リュウノユキナがまさかの「補欠」に……有力候補の本番出走に立ちはだかった“狭き門”と「痛恨の壁」
先週17日の牝馬ラスト一冠・秋華賞(G1)は、アカイトリノムスメが優勝。今週末は阪神競馬場で牡馬クラシック最終戦の菊花賞(G1)が開催。気温もぐっと下がり、中央競馬には本格的な秋のムードが漂い始めた。
一方、来月3日に行われる地方競馬の大一番・JBC競走も、あと2週間と迫ってきた。今年の舞台は2013年以来、8年ぶりとなる金沢競馬場。JRA所属の出走予定馬も先日発表されるなど、ここにきて着実に盛り上がりを増し始めている。
そんな中、JBCスプリント(G1)でまさかの補欠馬となってしまったのが、今年重賞2勝のリュウノユキナ(牡6歳、美浦・小野次郎厩舎)だ。
元地方競馬所属の同馬は、6歳になった今年ついに本格化。4月の東京スプリント(G3)で重賞初制覇を飾ると、8月のクラスターC(G3)も優勝。昨年9月のながつきS(OP)から前走の東京盃(G2)まで8戦連続連対中で、今まさに充実期を迎えている。
クラスターCを勝った後、陣営はJBCスプリントへの直行も検討したようだが、本番への出走をより確実のものとするために、間に東京盃を挟むことを選択。
同レースでは単勝2.4倍の1番人気に支持されたが、最後の直線で進路取りに手間取って後手を踏むと、先に抜け出していた7番人気のサクセスエナジーを捕まえ損ねるまさかの展開で敗戦を喫した。
今年のJBCスプリントに出走する中央馬は5頭。金沢ダート1400mで行われる関係上、フルゲートが12頭となるため、出走可能頭数の概ね3分の1とされている中央所属馬の出走枠も、例年よりも少ないものとなっている。この狭き門が、大一番への出走を目指すリュウノユキナの前に大きく立ちはだかる格好となってしまった。
なお、同レースへの出走枠を勝ち取ったのは、エアスピネル、サンライズノヴァ、サクセスエナジー、モズスーパーフレア、レッドルゼルの5頭。そして補欠馬はリュウノユキナの他にラプタス、ワイドファラオ、ヒロシゲゴールド、テイエムサウスダンの5頭となっている。
リュウノユキナと同じく今年に入り交流重賞2勝を挙げているラプタス、テイエムサウスダンが補欠となっており、一方でキャリアを通じて一度もダートで勝利したことのないエアスピネル、モズスーパーフレアが選出されたことについては一部で議論も呼んでいる。
SNSやネットの掲示板には「ダート実績ない馬の選出はおかしい」「なんでリュウノユキナやラプタスが出られないんだ」といったコメントを見掛けることもあり、今年のダート短距離界で活躍してきた馬たちが補欠であることに納得のいっていないファンも多いようだ。
「リュウノユキナは前走の取りこぼしが痛かったですね。東京盃は1着馬にJBCスプリントへの優先出走権が付与されるため、勝利しておけば賞金に関係なく本番への出走が可能でした。
その前走では1番人気に支持されていましたが、最後の直線で前が塞り2着。結果的にはこのドン詰まりが、大一番への出走を隔てる痛恨の“壁”となってしまいました」(競馬誌ライター)
もちろん同馬はこれで完全に出走が不可となってしまったわけではない。現在補欠1番手のため、1頭でも回避馬が現れればその時点で出走が可能となる。棚ならぬ壁からボタ餅が降ってくることに期待したい。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。