JRA【アルテミスS(G3)展望】武豊×大学生オーナーVS「2億円」金子ブランド!? 大本命馬にアクシデントで混戦模様
30日、東京競馬場では2歳牝馬限定重賞のアルテミスS(G3)が行われる。暮れの阪神JF(G1)、さらには来春の牝馬クラシックへとつながる重要な一戦に、将来有望な良血馬がそろいそうだ。
中心は、半姉に17年のヴィクトリアマイル覇者アドマイヤリードがいるベルクレスタ(牝2歳、栗東・須貝尚介厩舎)か。
デビュー戦は後に新潟2歳S(G3)を勝ったセリフォスの2着に敗れたが、2戦目の2歳未勝利戦で勝ち上がり。2着に3馬身半差の完勝を収めた。父がステイゴールドからドゥラメンテに替わって、姉より切れ味が増した印象だ。
デビューから手綱を取る松山弘平騎手は前走後、「着差以上に強い競馬でした。ここでは力が違いました」とその勝ちっぷりを絶賛。3か月ぶりの実戦で、重賞が舞台となるが、同じ1勝馬が相手なら格の違いを見せる可能性もあるだろう。
小柄だった姉に対し、妹の方は前走時が470kgと理想的なサイズ。2歳牝馬にとって屈指の出世レースを勝利で飾れば女王の座も見えてくる。姉がG1制覇を遂げたコースで阪神JFに名乗りを上げたい。
フォラブリューテ(牝2歳、美浦・宮田敬介厩舎)は、父エピファネイア、母ブルーメンブラットという両親がG1馬の良血だ。
母は、5歳秋に府中牝馬S(当時G3)で重賞初勝利を飾ると、続くマイルCS(G1)で牡馬を蹴散らし戴冠。その後は繁殖入りし、これまで9頭がJRAでデビューし、8頭が勝ち上がっている。ただし、大物はまだ出ておらず、産駒の重賞出走もゼロ。フォラブリューテが無事ゲートインにこぎ着ければ、待望の重賞初挑戦となる。
圧巻だったのはデビュー戦の内容だ。17頭の多頭数で行われた新潟1600mで、道中は中団を追走。直線まで末脚を温存し、新潟の長い直線でエンジンに火がつくと、あっという間に先頭に立ち、最後は2着に4馬身差をつけた。川田将雅騎手曰く「まだまだトモが緩くて幼い」中での圧勝劇は高い将来性を感じさせる。
今回は新パートナー、C.ルメール騎手とのコンビ。デビュー2連勝で暮れの大舞台に進めるか。
武豊騎手が手綱を取るシンシアウィッシュ(牝2歳、栗東・吉村圭司厩舎)もデビュー2連勝を見据える。
同馬はノースヒルズで生産されたキズナ産駒。そして注目したいのが馬主の前田幸大氏だ。同氏は、ノースヒルズ・前田幸治代表の次男で現在、慶応大学に在学中。JRAの馬主としてはもちろん最年少である。
幸大氏の引きの強さは父親譲りなのかもしれない。9月には馬主歴わずか2戦目でコンクパールが2歳未勝利戦をレコード勝ち。名義変更後、初戦となる一戦で、大学生オーナーと武騎手は “キズナ”を深められるか。
引きの強さではこのオーナーの右に出る者はいないだろう。金子真人オーナーのことだ。その金子氏が19年の当歳セレクトセールにて2億円超の高額で競り落としたのがディープインパクト産駒のロムネヤ(牝2歳、美浦・国枝栄厩舎)である。
デビュー戦では逃げの手を打ち、最後まで抜かせない根性を見せ、クビ差勝ち。本格化はまだ先だが、2戦目で好勝負できるようなら展望は明るい。
この他には、エピファネイア産駒の3頭、シゲルイワイザケ(牝2歳、栗東・渡辺薫彦厩舎)、サークルオブライフ(牝2歳、美浦・国枝栄厩舎)、ミント(牝2歳、栗東・友道康夫厩舎)も面白い存在だ。
最後に、ルージュスティリア(牝2歳、栗東・藤原英昭厩舎)は、最有力候補の1頭だが、中間に左前脚の球節周辺に腫れと熱感があったため、経過観察中。将来がある2歳馬だけに無理はしないとみられるが、出てくれば素質は上位。その動向にも注目が集まる。
昨年はソダシがここを勝ち、その後2歳女王、そして桜の女王に輝いた。今年もこのレースをステップに大きく羽ばたく馬は現れるか。発走は30日15時45分の予定だ。