元JRA藤田伸二氏「一番ダメだったのは祐一」、天皇賞・秋(G1)3強決着も“消極騎乗”福永祐一に苦言……。安藤勝己氏と見解分かれる

エフフォーリア 撮影:Ruriko.I

 31日、東京競馬場では天皇賞・秋(G1)が行われ、3番人気エフフォーリアが優勝。1番人気コントレイルは2着、2番人気グランアレグリアは3着に入り、下馬評通りの3強決着となった。

「本気で仕上げてきたライバルを捩じ伏せた激勝」

 レース後、Twitterにそうつぶやいたのは元JRA騎手の安藤勝己氏だ。もちろん勝ったエフフォーリアに対しての賛辞だが、2着に敗れたコントレイルについても「普通なら勝っとる。乗り方も仕上がりも文句なし。惜しむらくは勝ち馬の勢いが上やった」と記した。

 さらに3着に敗れたグランアレグリアは「距離はやっぱり気持ち長い。ただ、後続は離しとるし超立派な名牝」と、これまでと変わらぬ高い評価を与えた。

 安藤氏の見解で気になったのは、コントレイルの鞍上・福永祐一騎手への評価だ。乗り方を「文句なし」と評したが、これとは異なる見解を示した人物もいた。元JRA騎手の藤田伸二氏である。

 藤田氏はこの日、15時から自身のYouTubeチャンネルでライブ配信を行い、天皇賞・秋の見解と予想を披露。レース前には、3強の不安点も列挙していた。

 グランアレグリアは「2000mはちょっと長い」、コントレイルは「最内枠を上手にさばいてこられるのか」、そしてエフフォーリアは「(斤量が)2kg軽くて有利にも見えるけど、3歳馬はよほど強くないと……」

 藤田氏は「3頭のうちどれが勝つのか分からない」と結論づけ、披露した買い目は、ポタジェとカレンブーケドールの2頭を軸(1列目)に置いた三連複フォーメーション。3強とヒシイグアスへ流した合計16通りだった。

「藤田氏は3強で決まる可能性が高いことを予想しつつも『トリガミ』を嫌って、こういう結論に至ったようですね。的中とはなりませんでしたが、結果的に藤田氏が話していた通り『見るレース』でした」(競馬誌ライター)

 そんな「見るレース」で終始、藤田氏の視線を釘付けにしたのがコントレイルに騎乗した福永騎手の動きだった。

 スタート直後にはコントレイルの位置取りを見て、「なんで祐一、あんないいスタート切ったのに最初から下げたのかな?」と疑問を呈すると、「祐一ちょっと呑気に乗りすぎなんちゃうかな。1枠1番っていう枠順をあまり生かしてない乗り方してるな」とスローペースのなか、中団に控えた人馬を心配する発言も飛び出した。

 1000m通過タイム60秒5という数字を確認すると、「未勝利(戦)くらいのペースですよ。祐一、ちょっと苦しいんじゃないかな」と、やはり福永騎手とコントレイルが気になる様子。その後、3強で決着したレースを見届けると、「(エフフォーリア)強いなー。やっぱり3強で決まったってことは、やっぱり見るレースでしたね」と感想を述べた。

 レース後、一息ついたところで藤田氏が噛みついたのは、やはり福永騎手の騎乗だった。「このレースで一番やっぱりダメだったのは祐一だったね。せっかく1番枠引いて好スタート切っているのに、消極的すぎたね」と一刀両断。

 その後も「めちゃめちゃ悔いが残るレースなんじゃないかな」と後輩を慮りつつも、最後は「祐一が叩かれても仕方がない」と福永騎手への苦言に終始した。

「実際に、福永騎手もレース後に『理想は勝った馬(エフフォーリア)の位置』とコメントを残しています。スローペースは想定内だったと思うので、やはり位置取りが後ろ過ぎたということでしょう」(同ライター)

 昨年の菊花賞(G1)を最後に勝利がないまま1年が経ってしまったコントレイル。予定通りならジャパンC(G1)が引退レースとなるが、有終の美を飾ることはできるのか。「悔いが残る騎乗」でターフを去るコントレイルだけは見たくないところだ。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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