JRA驚異の馬券圏内90%超え!“絶頂期”迎えても新たなチャレンジ続ける福永祐一×「シゲル軍団」は最強コンビ!?
先週10月30日、東京競馬場で行われたアルテミスS(G3)は、7番人気サークルオブライフが勝利。鞍上のM.デムーロ騎手は、この勝利でJRA重賞100勝を達成した。
しかし注目はこのコンビよりも、3着に入ったシゲルイワイザケと福永祐一騎手のコンビだ。実は今年の成績を調べると、同騎手が「シゲル馬」に騎乗したときの成績が凄まじいことになっている。
今年3月14日の中京3Rで、シゲルヒラトリを3着に導いた福永騎手はそれ以来、前出のシゲルイワイザケ3着まで「シゲル馬」に11回騎乗。成績はなんと3勝、2着1回、3着6回で、4着以下は1回だけ。勝率27.3%、連対率36.4%で、馬券圏内に入る複勝率は驚異の90.9%と、恐るべき成績を残しているのだ。
今年に入って、抜群の安定感を記録する福永騎手と「シゲル馬」のコンビ。「シゲル」といえば、馬主歴約50年を誇る森中蕃氏が個人所有する馬でおなじみの冠名である。
森中氏は、どちらかといえば高額馬に手を出さず、リーズナブルな価格帯の馬を数多く所有していることでも有名なオーナー。シゲルイワイザケも2020年セレクトセールで4290万円という価格で取引された馬だ。
一方で、福永騎手の過去の「シゲル馬」とのコンビ成績を調べると、意外な事実が判明した。
今年3月14日にシゲルヒラトリに騎乗した以前を遡ると、なんと15年7月25日の中京5R新馬戦で、シゲルクロカジキに騎乗して以来の騎乗。つまり今年の福永騎手は「シゲル馬」には約5年7ヶ月ぶりに騎乗するようになったのだ。
その経緯は定かではないものの、ジョッキーとして“絶頂期”を迎えたようにみえる福永騎手は、決して現状に満足することなく、新たな挑戦を続けているようにもみえる。
例えば先々週は、果敢にも牝馬のディヴァインラヴでの菊花賞(G1)に挑戦。各スポーツ紙によれば「2走前を勝ったとき、次を勝てば菊花賞の挑戦もありだと(陣営と)話した」と、進言したのは福永騎手だと報じており、その発言からは既存の概念にとらわれない、チャレンジ精神が垣間見えた。
しかも結果は3着と健闘をみせ、「(牝馬で)いいチャレンジだったと思います」とコメント。横山武史騎手の菊花賞初制覇の陰に隠れて目立たなかったものの、しっかりと3着に入る好騎乗を見せたほか、自身の進言は間違っていなかったことも証明してみせた。
今年9月26日には、JRA通算2500勝を達成した福永騎手。史上5人目、現役3人目の大記録であり、デビューから25年6ヶ月と26日、年齢では44歳9ヶ月と18日での達成は、武豊騎手に次ぐ史上2番目の速さで記録している。
そんな“絶頂期”を迎えながら、新たなチャレンジを続ける福永騎手は、今や「新境地」にたどり着いた感すらある。秋から冬にかけてまだまだ続くビッグレースでも、引き続き同騎手の言動に注目したい。
(文=鈴木TKO)
<著者プロフィール> 野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。