JRAみやこS(G3)3人合わせて「161歳」、武豊ら“次世代5爺”に世代交代の波が直撃!?
7日、阪神競馬場で行われたみやこS(G3)は、中団後方からレースを進めた5番人気メイショウハリオ(牡4歳、栗東・岡田稲男厩舎)が直線で外に持ち出して差し切り。重賞初挑戦でうれしい勝利を飾った。
「2着馬が外から来て、そこからもうひと踏ん張りして、馬がこらえてくれました」
レース後にそう愛馬を労ったのは鞍上を務めた浜中俊騎手だ。9月の小倉2歳S(G3)に次ぐ今年の重賞2勝目を再びテン乗りで決めた。
その浜中騎手のメイショウハリオにハナ差まで迫ったのが6番人気のロードブレス(牡5歳、栗東・奥村豊厩舎)だった。4コーナーでは後方3番手という絶望的な位置にいたが、直線で坂井瑠星騎手のゴーサインに鋭く反応。メンバー最速となる上がり3ハロン35秒8の末脚を駆使し、勝ち馬をあと一歩まで追い詰めた。
32歳の浜中騎手と24歳の坂井騎手のワンツーフィニッシュは、馬連6680円、馬単1万4370円という好配当をもたらした。
一方、中堅・若手騎手を前に不甲斐ない結果に終わったのが上位人気馬に騎乗していた2人のベテラン騎手だ。1番人気クリンチャーに騎乗した52歳の武豊騎手は6着、2番人気メイショウムラクモに騎乗した現役最年長55歳の柴田善臣騎手は5着。ともに馬券圏外に沈み、期待に応えることができなかった。
「このレースには54歳の小牧太騎手も騎乗していましたが、14番人気ラストマンで最下位16着に終わっています。ベテランジョッキー3人の年齢を足すと161歳にもなりますが、人気を下回る着順で、存在感を示すことができませんでした。
50代騎手で思い出したのが、とあるエピソードです。武豊騎手が某テレビ番組の特集で調教師に転身したばかりの蛯名正義調教師と対談した際、柴田善騎手、小牧騎手、横山典弘騎手、熊沢重文騎手、そして自身の5人が『5G(5爺)』と呼ばれているという笑い話を披露していました。
某通信会社の5GサービスのCMに登場するキャラクターから命名されたらしいのですが、今回は“5爺”のうちの3人がそろって人気を裏切ってしまい、笑えない結果となってしまいましたね」(競馬誌ライター)
かつてはG1の大舞台でもしのぎを削った“5爺”。今回のように、5人のうち3人が重賞レースで顔を合わせるのは、昨年のファンタジーS(G3)以来、実に1年ぶりだった。ちなみにその時は武騎手のメイケイエールが1着、横山典騎手のオパールムーンが2着で、見事なワンツーを決めていた(小牧騎手は12番人気セレッソフレイムで9着)。
1年前と顔ぶれは違ったが、今回のみやこSでは3人そろって中堅・若手騎手に完敗した。しかし、“5爺”にリベンジのチャンスはすぐにやってくるようだ。
今週末のエリザベス女王杯(G1)には武豊騎手(デゼル)、横山典騎手(クラヴェル)、そして柴田善騎手(コトブキテティス)がそろって騎乗を予定している。3人には“5爺”パワーを遺憾なく発揮してもらいたいところだ。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。