JRAエリザベス女王杯(G1)がもはや「簡単過ぎ」ではない致命傷が発覚、レイパパレとウインマリリンでは決まらない?
14日、阪神競馬場では3歳上牝馬限定のG1・エリザベス女王杯(G1)が開催される。先週は日本のG1開催こそなかったものの、アメリカのデルマー競馬場でブリーダーズC(G1)が行われた。ラヴズオンリーユーとマルシュロレーヌが日本調教馬で初となる米G1制覇の偉業を達成したことで、海を越えた朗報に盛り上がった。
G1中休みも終えた今週からは、いよいよ暮れのホープフルS(G1)まで怒涛の8週連続G1ラッシュが開幕する。エリザベス女王杯をはじめ、マイルCS、ジャパンCと注目のレースが続くだけに、ファンとしても楽しみは尽きないだろう。
ただ、そうはいっても競馬には、スポーツとしてだけでなく公営ギャンブルという側面もある。馬券がハズレて損をするばかりでは、悠長に楽しんでもいられない。
そんな競馬ファンにとって、大きな味方となったのは、C.ルメール騎手と福永祐一騎手の存在だ。
実はこの2人、秋G1の開幕を告げたスプリンターズSでピクシーナイト、レシステンシアがワンツーを決めてから、天皇賞・秋でも2着にコントレイル、3着にもグランアレグリアと4週連続で2人とも馬券圏内に入る好騎乗を披露していたのである。
■秋G1、ルメールと福永の成績(敬称略)
・スプリンターズS
1着ピクシーナイト(福永)、2着レシステンシア(ルメール)
・秋華賞
2着ファインルージュ(ルメール)、3着アンドヴァラナウト(福永)
・菊花賞
2着オーソクレース(ルメール)、3着ディヴァインラヴ(福永)
・天皇賞(秋)
2着コントレイル(福永)、3着グランアレグリア(ルメール)
当然ながら、このことはファンの間でも話題となり、秋G1ではルメールと福永を押さえておけば、馬券は「もう当たったも同然」という傾向も強まった。
しかし、そんな絶好調の2人を凌駕する存在感を見せたのが、関東の若武者・横山武史騎手だ。前半2レースでの騎乗はなかったものの、菊花賞のタイトルホルダーから天皇賞のエフフォーリアまで2週連続でのG1制覇。父・横山典弘騎手の若手時代を上回るような勢いでトップ騎手への階段を駆け上りつつある。
さらにエリザベス女王杯には、ブリーダーズCで海外遠征した福永騎手が、帰国後の隔離期間ということもあり、参戦が出来ない状況。となると、飛ぶ鳥を落とす勢いの横山武騎手が馬券圏内に入ることや、3週連続G1制覇まであるかもしれない。
これなら福永騎手が不在でも馬券圏内“皆勤賞”のルメール騎手と横山武騎手を押さえておけば、エリザベス女王杯も今まで通り“簡単過ぎる”予想が成立しそうな雰囲気も出て来た。
ところが、これにはちょっとした不安材料があることも無視できない。
どうやら横山武騎手がコンビを組むウインマリリンが本調子にないという情報が、同馬を所有するウインレーシングクラブのHPで公開されていたからである。
またサイト内の情報によると、ウインマリリンは右肘に腫れがあり、発熱もしていた様子。陣営は治療に努めているものの、3日に行われた1週前追い切りでは併せ馬で遅れ、手塚貴久調教師からも、「絶好調のデキだったら遅れてはいないでしょう。乗った武史も降りてきて首を傾げていました」というコメントも記載されていた。
一旦休ませて有馬記念(G1)という選択肢もあったようだが、鞍上の調整や出走メンバーとの力関係を考慮すると、牝馬相手のエリザベス女王杯に分があるというのが最終的な判断だったらしい。
勿論、出てくるからには最善の努力を尽くしているはずで、無様な競馬はしないと思いたいが……。出資者からは状態を考えると回避を希望する声もあった。はたして最終的にどのような決断が下されるのか。
今週の追い切りと出馬確定に注目したい。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。