JRA「単勝272.1倍」最低人気で起こしたマジック! 翌年は武豊と堂々の連覇「G1・11勝馬」娘が思い出の舞台でデビュー戦V発進!
13日、東京5Rの2歳新馬戦は、田辺裕信騎手の3番人気リッキーマジック(牝2歳、美浦・加藤征弘厩舎)が直線抜け出して勝利。4番人気ビーザラキエストの追撃をアタマ差抑えて、見事にメイクデビュー白星を飾った。
「スタートセンスが良く、好位を取れたのが勝因です」
レース後そう淡々と振り返った田辺騎手だが、胸の奥にはなにか感慨深い思いもあったかもしれない。
同馬の父は現役時代、日本競馬史上最多となるG1・11勝を挙げた新種牡馬コパノリッキー。そのG1初制覇となった2014年のフェブラリーS(G1)でコンビを組み、最低人気の単勝272.1倍で大波乱を演出したのが田辺騎手だ。自身のG1初勝利にもなった同レースと同じ東京ダート1600mの舞台で、見事にその娘と白星発進を決めた。
13頭立てで行われたレース。リッキーマジックは田辺騎手のコメント通りスタート後サッと先頭集団に取り付くと、好位3番手の外目をキープ。前半600m通過37秒フラットの緩い流れの中、手応え充分で4コーナーを回り、最後の直線を迎えた。
直線入り口では早くも2番手に進出すると、ラスト2ハロンを切った付近では鞍上の左ステッキが一発。しぶとく逃げ込みを図るロードシャマールをラスト100mでねじ伏せるように捕らえると、後ろから迫ってくるビーザラキエストもきっちりとアタマ差封じ込んでゴール板に飛び込んだ。
「着差はそれほどありませんでしたが、好位追走から自ら動いて逃げ馬を捕らえると、後ろからの追撃も振り切るという強い競馬でした。内容的にはほぼ完勝と言っていいのではないのでしょうか。
なお今回は東京のマイル戦でしたが、スタートセンスの良い馬なので、今後はどのような競馬場でも対応が可能だと思います。主戦場は父と同じくダートになると思われますが、昇級しても楽しみな素材ですね」(競馬誌ライター)
前途洋々であるリッキーマジックは、近親に01年のJBCスプリント(G1)を制するなど、現役時代にダート重賞8勝を挙げたノボジャックがいる血統。同馬は7歳暮れに引退するまで、中央・地方合わせて通算43戦を戦い抜いた。
父のコパノリッキーもダートを舞台に、同じく7歳の暮れまで現役生活を続けている。本馬リッキーマジックも、もしかしたら今後長きにわたってダート戦線での活躍が期待できるかもしれない。
「まだ若いところがあるので、上積みは大きいと思います」
田辺騎手がレース後にそうコメントしたように、今後の伸びしろはまだまだたっぷりとあるだろう。
コパノリッキーは田辺騎手と大金星を挙げた翌年、武豊騎手を背に1番人気で堂々のフェブラリーS連覇を達成。父の思い出が詰まった東京ダート1600mの舞台から羽ばたいた、リッキーマジックのこれからの飛躍に期待したいところだ。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。